「反省しているんです。ただ、これは私の問題だと思うが、反省をしていると言いながら、反省をしている色が見えないというご指摘は、私自身の問題だと反省をしております」
以前、小泉進次郎氏のこんな構文が大きく取り上げられたことがある。これはあの父親の影響なのか、その小泉純一郎氏もまた、様々なブッ飛び言説を残した人物だった。
「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」
これなどは、誰もが記憶にとどめている迷言だろう。
衆院予算委員会では民主党の菅直人氏から「選挙で国債発行額を30兆円以内に抑えると公約したのを守れなかった」ことを追及されて、こう言い放つ。
「その程度の公約なんか守らなくても、大したことではない」
まさに放言親子だが、純一郎氏の言葉でやはり忘れられないのは、イラクへの自衛隊派遣を可能にする、いわゆる「イラク人道復興支援特別措置法案」成立に向けた党首討論でのものだ。
時は2003年7月23日。国会で5回目の党首討論が開かれたこの日、最大の争点となったのが、イラク戦争終了後のイラク復興支援のための自衛隊派遣問題だった。
「今のイラクに非戦闘地域というものがあるのか。非戦闘地域がどこなのか。一カ所でもあるのなら、総理、言ってみてください」
菅氏にそう問われた純一郎氏は、こう開き直ったのである。
「私はイラク国内の地図や地名をよく把握しているわけではない。(中略)どこが戦闘地域で、どこが非戦闘地域か、今、この私に聞かれたってわかるわけないじゃないですか。これは国家の基本問題を調査する委員会だから。それは政府の防衛庁長官なり、その担当の責任者から事情を聴いて、最終的に政府として我々が判断すること」
確かに中東に詳しい軍事専門家ではない純一郎氏が、「非戦闘地域」がどこなのかを明確に答えられるはずはないだろう。しかしながら、イラクへの自衛隊派遣を議論している中で「私に聞かれたってわかるわけない」という言い草はないだろう。
というのも、小泉内閣が米英によるイラク攻撃を支持した最大の理由は「フセイン政権による大量破壊兵器使用の危険性」にあった。しかし、肝心の大量破壊兵器が見つからず、米英両国内では戦争の大義をめぐる疑問の声が拡大。そんな中での自衛隊イラク派遣問題の最中に、まさにフーテンの寅さんならぬ、「それを言っちゃおしまいよ~」となったのである。
小泉氏は6月の日本共産党・志位和夫委員長との党首討論でも「イラクは大量破壊兵器を保有している」と断言したことについて「いかなる具体的根拠に基づいて断言したのか」と問われ、
「今、フセイン大統領が見つからないといって、フセイン大統領が存在しなかったなどといえないでしょう。それと同じだ」
いやいや、それはいくらなんでもブッ飛びすぎな見解。大ヒンシュクを買うのは当然のことだった。
(山川敦司)