補強費は有効に使うべきだ。中日が新守護神候補のジュニオル・マルテ投手の獲得を発表したのは、2月6日だった。一部メディアによれば、推定年俸は1億9000万円。出来高込みで最高2億2000万円となる大型契約である。
調べてみたところ、「初年度に1億9000万円強」を提示した外国人選手は、ここ20年間でマルテだけ。2024年オフに投じた中日の補強費を確認すると、8億3800万円となった。巨人、日本ハム、阪神、トレバー・バウアーの再獲得に成功したDeNAには及ばないが、楽天、広島、西武、ヤクルトよりも高い。
「中日は補強にお金をかけないイメージがありますが、今オフは違いました。3年連続最下位は、さすがにこたえたんでしょう」(地元メディア関係者)
そこで気になったのが、中日のチーム内年俸(推定)ランキング。1位は中田翔の3億円で、2位はマルテ、3位が大野雄大と高橋宏斗の1億2000万円、次いで柳裕也の1億1000万円、新外国人投手カイル・マラーの1億円と続く。マルテとマラーは来日1年目なので「未知数」と解釈し、エース高橋を除けば不振者、負傷者、未知数という「不安定な要素」に大金を投じていることになる。
中田は体重を15キロ減量してのキャンプに挑んでいる。これまでは朝、ベッドから起き上がるのも辛いくらい、腰が痛かったが、
「体が軽くなったことで『こんなに違うのか』と話していました。大野と柳はスロー調整ですが、肩はでき上がっている雰囲気でした」(現地記者)
年俸に似合わない昨年の不振をバネに蘇ってくれれば、「4年連続最下位」なんてことにはならないだろう。
「投手陣はノックを受ける練習時間が増えました。ベテランの柳も若手に混じって同じメニューをこなしています」(前出・現地記者)
複数のメディアや関係者が口にしていたのは「明るくなった」。練習量が増えても雰囲気がドンヨリしないため、中田らの復活には期待していいのかもしれない。井上一樹監督は「不振者、負傷者、未知数」が年俸トップを占める現状を変えることができるか。
(飯山満/スポーツライター)