してやったり、か。「第15回白鵬杯」の成功で、復権を目論む元横綱・白鵬の宮城野親方に、追い風が吹き始めている。「白鵬杯」は宮城野親方の発案で始まった国際少年相撲大会。2月11日に東京・両国国技館で開催され、13カ国、幼児から中学生までの166チーム、1144人が参加した。宮城野親方は宮城野部屋で弟子の北青鳳が暴力事件を起こしたことで処分を受け、現在は同じ一門の伊勢ケ浜部屋で、部屋付き親方として地味に活動している。
そうした状況ゆえ「白鵬杯」開催を危ぶむ声があったが、伊勢ケ浜親方の了承のもと、開催の運びとなった。相撲の全国中学校大会は、2027年度の全国中学校体育大会から実施されないことが決定。競技人口の減少や普及面での心配があるだけに、ベテランの相撲記者は、
「世界的規模の白鵬杯はいいアピールになる」
と話し、こう続けた。
「このままでは、力士を志す人がいなくなってしまいます。外国人力士ばかりという声も確かにある。日本相撲協会は、外国人が出場する白鵬杯の後援はしていませんしね。でも最近では二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)を除き、横綱のほとんどがモンゴル出の力士で、彼らを相撲界から締め出すことなどできない。今はモンゴルだけでなく、ヨーロッパ出身の力士も増えています。世界に目を向ける白鵬杯を評価する声が高まっているのは事実です」
相撲部屋関係者も、次のように期待を口にする。
「確かにコントロールが効かない宮城野親方は、相撲協会にとっては目のたんこぶかもしれないが、今も知名度は抜群。老若男女が知っているからね。早く処分が解けて、どんどんいい力士を育てて表舞台に戻ってほしい」
確かに相撲協会内には日本古来の伝統を盾に、アンチ白鵬、アンチ宮城野を標榜する者は多い。その現状を打ち破るには世論の高まり、後押ししかない。
「宮城野親方は白鵬杯の盛況ぶりが後押しになることは、計算しているでしょうね」(前出・ベテラン相撲記者)
歴代最多優勝を誇る大横綱が、本格復権する日は近いのか。