現実的には、X氏のフロント入りの実現はハードルが高く、内部に障害もある。
「球団幹部は、読売の生え抜きの人材以外に実権を持たせる前例を作りたくないでしょうね。しかし、原監督が自分のやりやすい環境を続投条件にしたら話は変わるかもしれません。いきなりGMはないにしても、仮にX氏の球団入りを認めなければ続投しないとなれば球団は慌てるでしょう。周知のとおり、松井に逃げられたことで来季すぐに就任できるような後継者選びは難航している状況です。まして、巨人は退任後も実績抜群の原監督を球団に残したい意向だけに、ケンカ別れは避けたいですからね」(スポーツライター)
そんな中、意外な名前が後任監督候補に急浮上した。インフルエンザで離脱した原監督に代わり、4月15日のDeNA戦から5試合にわたって代行を務めた、川相昌弘ヘッドコーチ50)である。
昨年も1試合の代行を務めている川相ヘッドは計6戦で指揮を執り、5勝1敗という成績を残している。
「一部フロントの中から『川相さんを次期監督に』という待望論が出ているのは事実ですね。11~12年の二軍監督時代から、試合で全力疾走を怠った選手には『お前の乗るバスはない。歩いて帰れ!』と球場から宿舎までの罰走を科すなど、根性野球で若手を鍛えまくった。川相監督が率いていた当時の二軍は『読売ドラゴンズ』とまで言われ、野球理論にも基づいた、その指導力が評価されてきましたからね。実は原監督がインフルエンザに感染する直前、川相ヘッドがインフルエンザでした。チーム内では『川相さんがわざとうつしたんじゃないの』という冗談も聞かれました」(スポーツ紙デスク)
一軍では、橋本到(25)や中井大介(25)など、川相ヘッドが鍛えた選手たちが頭角を現してきた。また、川相監督の誕生は、将来にも夢を持たせることができるとの見方もある。
「球団としての本命はあくまで松井となりますが、長嶋茂雄終身名誉監督(79)という存在がいるために、これまで松井も将来的な可能性を含めてはっきりと『ノー』とは伝えていません。もし原監督の次を高橋が継げば、松井監督誕生は事実上なくなりますが、川相ヘッドの昇格であれば、松井待望論は継続されるんです。世代交代の間を埋めるつなぎ役としても、川相監督は適任でしょう」(スポーツライター)
そんな監督人事で過渡期を迎えているだけに、結果を残してきた原監督の発言権が増しているのだろう。
「原監督は監督を退任して球団に残った場合、みずからGMという立場になりたいという思いもあるんです。さまざまなしがらみでそれが実現しなければ、以前から水面下でひそかにプランが練られていた、栗山英樹監督(54)との太いパイプを利用した日本ハムでのGM就任、あるいは栗山GM、原監督体制の構築に走ることも選択肢の一つのようです。その日ハム入りも、X氏のフロント入りが条件となるのでしょうね」(球界関係者)
常勝チームを陰で操ってきた黒幕の存在を抜きにすれば、もちろん現状では、結果を出し続けるかぎり、巨人で原監督が続投するのが理想的ではなかろうか。しかし、巨人OBの重鎮・広岡達朗氏は原監督に手厳しい。
「去年から、やってることがわからんね。クリーンナップを打たせてたのを7番、8番で使ったりして、選手を育ててないんだよ。わかっていてやらないのか。もし弱いチームで指揮を執ったなら、育てないとどうにもならないよ。常識外れでわからん」
いや、チームが変革を求められていることを理解しているからこそ、原監督も“独自のルート”でチーム再建を目指しているのかもしれない。長いペナントレースと並行して駆け引きは続きそうだが、はたして──。