「超変革」をスローガンに掲げ、「勝ちながら再建」を目指すはずのトラの新指揮官が、鉄人らしからぬ弱気を露呈。猛虎復活を期待するファンの前で、なんと「来季V逸」を宣言する“猛言”を繰り出したのだ。はたして「鉄人流」の真意はどこにあるのか──。
10月19日、第33代阪神タイガース監督への就任を発表した金本知憲監督(47)は、大阪市内で行われた会見で次のように語った。
「何とかこのチームを強くしたいと、今はそれしか思っていない。一度(チームを)壊してでも立て直したい、という球団の熱意に、意気に感じた」
現役時代、鉄人と呼ばれた男はその言にのっとり、みずから掲げたスローガン「超変革」そのままの組閣を実行した。矢野燿大作戦兼バッテリーコーチ(46)、片岡篤史打撃コーチ(46)のほか、臨時投手コーチには下柳剛氏(47)を招聘。二軍にも今岡誠打撃兼野手総合コーチ(41)、藤本敦士守備走塁コーチ(38)と、03年、05年にリーグ制覇した「第二次黄金期」のメンバーを次々と招集したのである。
球団関係者は今回の入閣メンバーをこう評価する。
「中西清起前投手コーチ(53)や吉田康夫前二軍バッテリーコーチ(54)ら年上の古株コーチが辞め、よけいな気を遣う必要がなくなった。組閣の目玉はファンはもちろん、フロントの人気も高い矢野コーチ。以前から待望論があった赤星憲広氏(39)の入閣もギリギリまで進んでいましたが、持病のヘルニアの状態が芳しくなく残念ながらかなわなかった。当初、阪神で臨時コーチ経験のある元広島の大野豊氏(60)も二軍投手コーチ候補にあがっていましたが交渉は頓挫。代わりに広島時代のチームメイトである高橋建コーチ(46)を抜擢したという経緯もあります」
金本監督が、これほどまでに革新的な組閣にこだわるのにはワケがある。
就任会見から1カ月後の11月23日。ホテルニューオータニ大阪で開かれたトークショーに新監督が登壇した。「衝撃のトークショー金本監督が語るV奪還への秘策!」と題されたこのイベントに参加したファンにその際の様子を聞くと、
「金本さんは『監督でなければおもしろい話はいっぱいできたのに』と言いつつも、『阪神はとにかく情報がダダ漏れで、コーチたちが手柄を取るように内緒話を記者に漏らす。ここだけの話やけどな、と言いながら100人に話すのが阪神。こんなの、普通の会社ならありえない。あしき伝統だ』と球団の体質を批判していましたね」
03年に広島カープから阪神に移籍した金本監督だけに、その違和感はひとしおなのかもしれない。
「自分がいた頃の阪神に違和感を持っているのは間違いない。要するに、以前の阪神と自分が監督をする阪神との離別を図ろうとしているわけです。就任後、生え抜きの鳥谷敬(34)を呼び出し『お前が変わらんとチームが変わらんわ!』と一喝したのは有名な話です」(スポーツライター)