「松竹は涙目でしょうね」とは、とある映画関係者のコメントだ。
大みそかの国民的番組「紅白歌合戦」で、現在公開中のメガヒット映画「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(ディズニー配給)にちなみ、嵐とスター・ウォーズ(以下=SW)の人気キャラクターとのコラボステージが行われることが発表された。さらに、ディズニーソングの特別ステージも同時決定し、そちらにはV6やPerfumeが加わるという。ところが、この“夢の競演”に眉をひそめる人たちが非常に多いというのだ。
「ディズニーソングのステージはあきらかに批判回避の付け足し。ディズニーの本音はとにかくSWの宣伝です。興収ノルマが天文学的とも言われる超大作だけになりふりかまわずというわけでしょう。それには視聴率が50%近くいく紅白、しかも嵐の後押しともなれば、一石五鳥ぐらいの効果。しかし、このやり方は非常識だという声がメディアの間でも多いですね」(エンタメ誌編集者)
なぜなら、かつてあれだけ商業的な“宣伝”を拒絶してきたNHKが、まさかのディズニー映画の宣伝に全面協力するという矛盾。それには一般視聴者からも「去年のアナ雪は公開終了後だったけど、絶賛公開中のSWでそんなのあり?」という類いの疑問が押し寄せている。さらに映画関係者が失望の声をあげるのは、「嵐の二宮和也は吉永小百合主演の正月映画『母と暮らせば』の準主役にもかかわらず、その出演作を差し置いてライバルのSWを応援するのか!」という展開だ。「母と暮らせば」を配給する松竹が、ディズニーの圧力になす術なしだったという印象を植え付けてしまったと、憤りを感じる関係者が少なくないわけだ。
「公開初週に『妖怪ウォッチ』に動員数で破れたSWですが、2位という文字がNGワードと通達があったのかと思うほど、各メディアは一斉に『興収1位』を強調する見出しを並べました。映画の評判もイマイチなので、それぐらい焦っている。紅白のコラボはその前から決まっていたことでしょうが、派手な話題のない今回の紅白でNHKと利害が一致したんでしょう」(週刊誌記者)
このニュースを知った映画ファンからは「いくらカネが動いてるんだ?」「せめてもの償いに吉永小百合さんを審査員で呼べよ!」などの声も聞こえた。とにかく、受信料を払う国民の声も届かないほど巨大な力が関わっていることは間違いない。
(藤田まさし)