安倍晋三総理(61)の盟友として知られる甘利明前経済再生担当相(66)に浮上した「口利き疑惑」。甘利氏は疑惑の一部を認め、「知らなかったとはいえ、秘書に責任転嫁するのは私の政治家の美学に反する」などと美談仕立てに、苦渋の閣僚辞任を表明したが、今回の騒動はほんの氷山の一角にすぎなかった──。
さる大物代議士の私設秘書もこう耳打ちする。
「永田町には、似たような話がゴロゴロ転がっています。大物のセンセイも、子分の陣笠を養うためにはカネがいる。それも、表には出ない闇ガネが。私設秘書に至っては、『カネはテメーで稼げ!』が常識ですよ」
実際、口利き疑惑で揺れる永田町を歩いてみると、これがまた出るわ出るわの大オンパレード。のっけから甘利騒動とソックリの醜聞が飛び出してきた。
まずは安倍総理に近い元陣笠代議士を巡る話。この代議士の元公設秘書によれば、ふだんからカネがピーピーだった代議士の議員会館の部屋に、ある日、中堅ゼネコンとのトラブルを抱えたオーナー社長から電話が入ったのだという。
「さっそく議員会館近くの飲食店で電話主の社長に会った代議士は、茶封筒に入った数十万円の“着手金”とともに中堅ゼネコンへの口利きを依頼されたんです。数日後、代議士は中堅ゼネコンの総務担当者を議員会館に呼び出し、『あんたのところはどうなっているんだ。このままだとマズイことになるよ』などと、しきりに脅しをかけました。総務担当者の呼び出しは数回に及んだと記憶しています」
もちろん、脅しは中身のないハッタリ。しかも、相手がいかにも悪かった。実は総務担当者は陣笠の親分と昵懇で、後日、陣笠は親分から大目玉を食らってしまったというのだ。元公設秘書が続ける。
「この間、代議士は社長から何度か工作のための現金を受け取っていました。その後、社長からは『カネだけ取りやがって。まったく使えない野郎だな』などの文句の電話が何度も入りましたが、代議士は電話にも出ずに逃げ回っていました」
暴力団から筋の悪い口利きを頼まれ、カネを受け取った元中堅代議士もいる。当時、その暴力団のフロント企業と別の暴力団のフロント企業が、自治体発注の産廃処理事業などを巡って対立していた。元私設秘書が明かす。
「代議士は首都圏にある韓国料理店の個室で依頼主の暴力団関係者に会い、市の担当者や議員などへの口利きのための裏ガネを受け取りました。紫色の風呂敷に包まれた大型の茶封筒の中に、帯封の付いた100万円の束が2つ入っていたのを覚えています」
中堅代議士は、さっそく秘書らにかき集めさせたスキャンダルをチラつかせて、反目する市会議員らに次々と圧力をかけるとともに、市の担当者を恫喝したり懐柔したりして、何とか話をまとめ上げた。
「その後、代議士は成功報酬として、くだんの暴力団関係者からさらに300万円を受け取りました。合計500万円。暴力団とのつきあいは現在も続いています」(前出・元私設秘書)