スポーツ

北島康介「29歳の進化」 「急逝ライバルに惨敗」で燃えた天才の意地(3)

ライバルの存在に奮い立った

 10年4月の日本選手権では7歳年下の立石に敗れ、50メートルと100メートルは2位。200メートルは4位という結果だった。だが8月にアメリカのアーバインで開催されたパンパシフィック選手権では、100メートル予選で同年世界ランキング1位になる59秒04を出し、決勝は59秒35で優勝。50メートルこそ5位にとどまったが、200メートルでも世界ランキング1位の2分08秒36で優勝と、衝撃的な国際大会復帰を果たした。
 だが11月のアジア大会は50メートル、100メートルとも4位になり、肩の痛みが出たために200メートルは棄権。翌11年の国際大会選考会では100メートル1位、200メートル2位で世界選手権代表になったが、200メートルのスタート直後に太腿の付け根を肉離れするアクシデントに見舞われた。
 その影響で急仕上げの状態で臨まざるをえなかった7月の世界選手権は、100メートルで急成長したダーレオーエンの前半50メートル27秒20という驚異的な泳ぎにリズムを崩され、1分00秒03の平凡な記録で4位と惨敗した。
 それでも中2日で出場した200メートルは泳ぎを修正し、かつてのような伸びのある泳ぎで150メートルまでを世界記録を上回るペースで通過。最後は大会前の追い込み不足が響いてダニエル・ギュルタ(ハンガリー)に逆転負けしたが、2分08秒63で0秒22差の2位と、底力の確かさを見せつけたのだ。
 だが100メートルの惨敗は、北島にとって大きなショックだった。
「本来持っている力すら出させてくれなかったんだから、それは悔しいよね。技術で負けたとは認めたくないけど、やっぱり彼は力もあるし、北京五輪で2位になった時とは技術面も比べ物にならないくらい上達している。まったく別のところで勝負しているような感じで、たぶん僕すら相手にしていないだろうしね。今は彼の相手は誰もいないと思うし、独壇場じゃないかな」
 あきれ顔でこう話していた北島は、100メートルが終わったあとはホテルへ帰ると自分の部屋でひとり涙を流したという。そして北京まで彼を育ててくれた平井伯昌コーチにも「どうすればいいのかわからない」と弱音を吐くほどだった。

カテゴリー: スポーツ   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
段ボール箱に「Ohtani」…メジャーリーグMVP発表前に「疑惑の写真」流出の「ダメだ、こりゃ!」
2
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
3
沖縄・那覇「夜の観光産業」に「深刻異変」せんべろ居酒屋に駆逐されたホステスの嘆き
4
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
5
【おむすび】栄養士編スタートで橋本環奈に「ギャルを履き違えている」ダメ出し