9月から始まったばかりのロシアW杯アジア最終予選で、いきなり窮地に立たされたサッカー日本代表。2戦目で初勝利を飾ったが、バヒド・ハリルホジッチ監督(63)は解任秒読み段階に入っているようで‥‥。
埼玉スタジアムに衝撃が走ったのは、9月1日に行われたUAEとの初戦でのこと。試合終了の笛がグラウンドに鳴り響くと、日本代表の選手たちはうなだれて、放心状態のまましばらく動けなかった。
前半にFW本田圭佑(30)=ACミラン=のゴールで幸先よく先制したが、あっさりと逆転されて、1-2で敗れてしまったのだ。
「98年フランス大会以降、アジア最終予選初戦で落とした国が本大会に出場した例はなく、早くも苦境に立たされています」(スポーツ紙記者)
その結果に誰よりも取り乱したのは、ハリルホジッチ監督だった。試合後の会見では怒りを隠さず、
「何人かの選手はほとんどプレーできなかった。なぜこの選手を選んでしまったのか、自分でも疑問に思っている」
などと選手批判を繰り返したのだ。
「第2戦が行われるタイに移動してからも監督は不機嫌でした。取材陣の前では眉間にシワを寄せて仏頂面で、選手たちにも『今日は笑顔を見せるな!』と厳命していました」(前出・スポーツ紙記者)
監督就任してから選手には「体脂肪率12%以下」を求め、食事管理を厳しく徹底。それが一転、3日夜にバンコク市内の日本料理店で、選手たちに食事会をするよう指令を出した。
「これまでとは違う監督の言動に、『別の日にしたほうがいいのでは‥‥』と反発した選手もいたが、監督は『いいから行ってこい!』と一蹴。あまりにもナーバスな姿に、選手との信頼関係はガタガタになっています」(前出・スポーツ紙記者)
9月6日のタイ戦では、前半にFW原口元気(25)=ヘルタ・ベルリン=のヘディングで先制すると、後半にはFW浅野拓磨(21)=シュトゥットガルト=が追加点を決めて、2-0で勝利。
結果だけを見れば勝ち点3を獲得できたが、試合内容はさんざんだった。
格下相手に試合を支配する中、放ったシュート数は21本。決定機の場面でエースの本田が空振りをして宙を仰げば、さらに重症なのが、「10番」を背負っているMF香川真司(27)=ドルトムント=だった。
15年1月に開かれたアジア杯準々決勝のUAE戦で、香川がPKを外して敗退。その時のリベンジとばかりになみなみならぬ決意を燃やしていたが、2戦ともことごとくゴールチャンスを潰してしまったのだ。
「試合後はわかりやすいぐらい肩を落として、誰も声をかけられない雰囲気。取材陣の質問には消え入るような声で応じていました」(前出・スポーツ紙記者)
来月6日にはイラク戦、11日にはオーストラリア戦が迫っている。日本の先行きについて、サッカージャーナリストの六川亨氏はこう指摘する。
「現状のままでは、グループのライバルである、オーストラリアとサウジアラビアに勝つのは苦労するでしょう。初戦でも本田や主将の長谷部誠は別メニューで調整するほどコンディションは最悪でした。海外組にこだわらず、調子のいい国内組の選手起用も考えるべきです。10月の2連戦は監督にとって正念場。1試合でも落とせば、更迭されてもおかしくない状況です」
9月8日、リオ五輪代表を率いた手倉森誠氏(48)をA代表のコーチに復帰させることが決まった。
五輪代表監督が大会後にA代表のコーチになるのは初めてのケースだ。前出・スポーツ紙記者が背景を解説する。
「手倉森氏は五輪後、『休養したい』とサッカー協会に申し出ていました。しかし、この緊急事態です。急遽入閣させて、すぐに監督交代できる体制を整えたのです」
選手批判や“ご乱心”している場合ではないようだ。