今週は「中山牝馬S」が中山で行われる。09年が139万、11年は244万馬券が飛び出すなど、大荒れ傾向のハンデ重賞。穴党の出番だ。一方、中京の「金鯱賞」は好メンバーがそろい、見応え満点の一戦になりそうだ。
今週の中山のメインは、中山牝馬S。4歳以上の牝馬によるハンデ戦で、よく荒れる重賞として知られる。マジックタイムなど、ここがラストランで繁殖入りする馬もいるが、このマジックタイムやデニムアンドルビーの人気勢はハンデを背負わされるだけに、力どおりの結果を残せるかは微妙なところだろう。
データをひもといてみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの14年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連では3回)。この間、1番人気馬は3勝(2着1回)、2番人気馬は0勝(2着2回)。人気どおり順当に決まりにくい重賞であることがわかる。
年齢的には充実ぶりを見せる5歳馬が強く、4歳馬がこれに続く。6歳馬の頑張りも目立つが、7歳以上は出走馬が少なくなることもあり、厳しい戦いを強いられている。今回に関してはウキヨノカゼ、メイショウマンボだが、頭からは狙えないか。
中山の芝1800メートルという舞台もポイントになる。比較的、前々で競馬ができる馬がやはり有利で、追い込み一辺倒の馬は苦しいだろう。ハンデから見ると、55キロ前後の斤量を背負わされる実績ある力量確かな馬がよく連対を果たしているが、それでも軽量馬の食い込みも少なくない。まずは難解な一戦と言っていいだろう。
悩むところだが、穴党として最も期待を寄せたいのは、フロンテアクイーンだ。
準オープンを勝ち上がったばかりだが、その前走の内容は「強い」の一語。ここでも十分に通用すると見ての狙いだ。事実、3歳時にはGIIIクイーンCで2着。オークスでは勝ったシンハライトにコンマ4秒差(6着)の勝負を演じている。
「3歳時は、ひ弱さが多分に残っていたからね。それがここにきて、たくましくなって本格化してきた。もともと素質が高かった馬。これからが楽しみ」
こう今後に期待を寄せるのは国枝調教師だが、1週前の坂路での追い切りは抜群で、確かに一皮剥けた印象だ。恐らくハンデは52~53キロ。ならば、実績からもチャンスは十分にあっていい。
近親にトウショウレオ(小倉大賞典2勝を含む重賞4勝)、一族には、あの天馬トウショウボーイ(皐月賞、有馬記念、宝塚記念)がいる良血。好位で立ち回れる安定性があり、芝1800メートルは〈2100〉と、得意とするところ。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
逆転候補としてはプリメラアスールをあげたい。先手を奪うのはこの馬と見ているが、ここを目標にじっくりと乗り込んで、仕上がりのよさも目立っている。
こちらはフリート、プールパルレ(ともに英1000ギニー)ら一族に活躍馬が多くいる。ハンデは恐らく51~52キロ。道悪も上手で、晴雨にかかわらず“一発”があっていい。
金鯱賞は、アングライフェンが狙い。ここにきて充実ぶりが目立つ1頭。前走の京都記念は、強敵相手に見せ場たっぷりの好内容だった。
「前走(京都記念5着)は余裕残しの状態だったが、よく頑張っていた。この中間は馬体が締まって実にいい雰囲気。この分ならここでも楽しみ」
とは、安田隆調教師。追い切りの動きも文句なく、休み明けを2度使われて大幅な良化ぶりを見せているのは明らかだ。
トランセンド(ドバイワールドC2着。JCダート2回、フェブラリーSなどGI4勝)が近親にいて、血統も一本筋が通っている。左回りがスムーズな馬でもあり、好勝負必至と見ている。