高校野球といえば裏方、特に女子マネージャーの存在が欠かせない。昨年夏の甲子園では大会前の甲子園練習に大分県代表の大分高校の女子マネージャーを務めていた首藤桃奈さんがユニホーム姿でグラウンドに立って練習に参加したことで高野連の大会関係者が慌てて制止した一幕があった。直後にこの出来事がさまざまなメディアや媒体で話題になり、物議を醸したことはいまだ記憶に新しい。
そんな女子マネージャーが、試合の際に記録員としてベンチに入ることは今では珍しくない光景だが、その第1号となったチームが今大会に出場した。福岡県代表として21年ぶり6回目の出場を果たし、8月8日初日の第二試合を済美と戦った東筑である。そしてこの東筑の21年前の出場こそ、女子マネージャーのベンチ入り第1号を果たした時でもあった。
96年第78回大会から女子マネージャーが記録員として甲子園のベンチに入ることが正式に認められたのだが、その第1号が東筑の女子マネージャーだった三井由佳子さんだった。この時の東筑は初戦で盛岡大付に2‐0で勝利し、三井さんは文字通り“勝利の女神”となった。続く2回戦は倉敷工の前に3‐5で惜敗したが、三井さんの存在は大きな話題となった。
そして福岡県勢は女子マネージャーだけではなく、高校野球史上、甲子園に初の女性部長を誕生させた県でもあるのだ。この三井さんベンチ入りの1年前、95年の第77回大会でのこと。戦後50年目という節目の大会で柳川の高木功美子さんが女性部長として大会史上初めて甲子園のベンチに座ったのだ。
この年の柳川は初戦で六日町(新潟県)を8‐2、2回戦で享栄(愛知)を4‐0で降したが、3回戦で敦賀気比(福井)の前に延長15回の死闘の末、1‐2で無念のサヨナラ負けを喫している。
(高校野球評論家・上杉純也)