─以前、ご主人にインタビューした時、原発再稼働には賛成していました。一方、昭恵さんはどちらかというと脱原発に近い考えとうかがっていますが。
安倍 うーん、よくわかんないんですけど、やっぱり福島の現状を見ると人間がもう原子力をコントロールできなくなっているわけですし。それまでは原発で潤ってきてよかったかもしれないけど、あれがもう一度、同じような事故を起こしたら、やっぱり大変なことになるだろうなと思うんですよね。絶対安全って、ないんですよ。これからもどんな天変地異があるかわからない。そういう意味では、何かあった時に、本当にパッとコントロールできる、収束がすぐできるんだったらいいけどそれができないかぎり、やっぱり私は反対なんですよね。
─今年7月29日に行われた山口県知事選では自公推薦の山本繁太郎さんと、「脱原発」を掲げる無党派の飯田哲也さんがトップ争いをした。親しくしていらっしゃる飯田さんを応援したように報じられています。
安倍 してませんよ! 山本さんの車に乗ってちゃんと応援しました。飯田さんとは選挙になる前に話をして、「もう応援はできないけどご健闘をお祈りします」というようなことは言いました。で、終わったあとに、また「お疲れ様でした」って。選挙が終わってもうノーサイドなので。その後、山口県の祝島のお祭りに行っちゃった。上関原発のすぐ4キロ先くらいにハート形の島がある。その島が反原発の象徴のように世界から注目されてるんです。いろんな反対派の人たちが入ってきてて自民党がもうまったく入れない島みたいになっちゃってるんです。去年、私がそこに飯田さんと一緒に行ったことでちょっとした話題になってしまった。
で、今年も飯田さんが誘ってくださったので「じゃあ行きます」って行ったんです。そこはでも、安倍の祖父の岸信介も叔父の佐藤栄作さんも、皆、昔は行ってたところで、岸がしばらく逗留してたという宿もあるんです。その部屋に泊めてもらいました。だからみんな懐かしいわけですよ。私が行くと、「まぁ、よく来たね」みたいな感じですね。私は、もう1回、もうちょっと昔に戻って、自然に調和する、自然と人間が共生するような社会になっていくのがいいんだろうなって思うんですけどね。なかなか今のこの経済の中では、そう簡単にはいかないと思うんですけど。でも、今多くの方々、特に女性はすごく意識が変わってきています。少々不便な思いをしたとしても、子供たちや孫たちにちゃんと安全な環境を残していかなきゃいけないと思ってる人たちは多い。また、ちゃんとした食べ物を食べさせなきゃいけないと思ってる人も多い。
─安倍さんにそういう自分の考えは言いますか。
安倍 主人が取り組んでいる「政治」に私は口出しをしたいとか、するつもりはないけれども、ただ、いろんな人たちと話をする中で聞いたことなどを「こういう意見があるよ」ってことは、伝えていきたいというふうには思っています。