秋のGI戦は小休止。今週のメインとなるのは、アルゼンチン共和国杯だ。ダービーの日に行われる伝統の目黒記念と同じ条件。距離2500メートルで争われるGIIのハンデ戦である。
毎度、多彩な顔ぶれで見応えのある激しい競馬が繰り広げられるが、今年も役者ぞろい。馬券的にも興味が尽きない一戦だ。
昨年の2着馬アルバートが主役となるが、デニムアンドルビー、カレンミロティックといったGIの常連だけではなく、菊花賞に向かわなかったダービー2着馬スワーヴリチャード、3戦無敗のセダブリランテスの3歳勢の参戦もあり、レースはいやが上にも盛り上がるというものだ。
馬券的にはハンデ戦だけに簡単ではないが、イメージと違って、そう大きく荒れることはない。中穴傾向の重賞と言っていいか。
02年から馬単が導入されたが、その馬単で万馬券が出たのは5回(馬連2回)。1番人気馬は3勝(2着3回)、2番人気馬は5勝(2着3回)。有力どころのいずれかを主力に置き、人気薄を含め、複数頭に流すと的中しやすいか。
振り返ってみると4歳馬がよく連対していることがわかる。今回はその4歳馬の出走は少ないが、これに続くのは充実期にある5歳、6歳馬。過去15年では7歳馬、牝馬の連対がなく、カレンミロティック、デニムアンドルビーは苦戦を強いられるかもしれない。反対に、若くて登り坂にある3歳馬は要注意だ。古馬が相手ということでハンデを背負わされないだけにチャンスは大いにあっていい。
また、ハンデ戦だけに、軽斤量馬のチャンスが多そうに思われるが、この15年間で56キロ以上が11勝(2着9回)しており、実績馬が優位にあることには変わりない。
では、以上のことを念頭に入れて、勝ち馬をあぶり出してみよう。
浮かび上がるのは充実期にあるプレストウィック。この馬をイチオシしたい。
決め手に甘く勝ちみに遅い馬というイメージだが、前走の丹頂Sは強い内容だった。わずかアタマ差の勝利だったが、アングライフェンとビッシリ競り合い、ゴール前、力でねじ伏せたもの。長距離戦向きであることを遺憾なく発揮した一戦でもあった。
そのあとは短期放牧でリフレッシュ。ここを目標にしっかり乗り込まれてきており、中間の稽古の動きはこれまで以上に素軽くなっている。
「休み休み大事に使ってきたので、6歳馬だが肉体的に若い。これからまだよくなりますよ」
こう状態のよさを強調するのは武藤調教師。十分、納得である。
ダイワメジャー産駒だが、長丁場向きでオクテなのは、母系の影響がそれだけ強いからなのだろう。母父リナミックス(GI仏2000ギニー)はマイラーだったが、祖母はリヴァーマン×ヘイルトゥリーズンとタフな種牡馬の配合でこのへんからもスタミナ豊かであることがわかる。
ハンデは恐らく、前走から1キロ増の55キロ。道悪になっても問題なく、中心視したい。
穴はネイチャーレットだ。まだ1600万条件馬だが、スランプを脱して上昇急。曾祖母は桜花賞馬シャダイカグラ。このレースに強い4歳馬でもあり、軽ハンデ(52~53キロ)を生かしての“一発”があっていい。
関西のみやこSは、エピカリスの出走が注目されるが、狙っておもしろいのは、トップディーヴォだ。前走のシリウスS(4着)は、一息足りなかったが、体調もイマイチだった。しかし、この中間は落ち着き払って好気配。他の有力どころは逃げ、先行脚質が多く、その後ろで競馬ができるこの馬には展開も向きそう。得意の京都〈4 3 1 4〉なら、巻き返しがあっていい。