今年9月、政策に関する助言を受けてきた倉持麟太郎弁護士との「不貞疑惑」が報じられ、民進党を離党することになった山尾志桜里衆院議員。10月に行われた衆院選に愛知7区から無所属で出馬して辛くも当選し、「不貞騒動」に関する質問をいっさい受け付けない「弁明」が有権者に認められた形となった。が、再選後、新たな“火種”をみずから生み出し、また話題を提供している。
11月7日付の神奈川新聞のインタビューで山尾議員は“疑惑のお相手”だった倉持弁護士を政策顧問に就任させると明言。その中では「むき出しの好奇心になど屈しない」「『男女の関係はない』と答えたが、そうしたことを答える必要さえなかった」などと自身についての報道に反発を示したのだ。翌8日には元宮崎県知事の東国原英夫氏がツイッターで〈週刊誌報道等を余り舐めない方がいいと思う〉と指摘するなど、多くの異論が上がる山尾議員の決断。背景に何があったのか。
「山尾氏と倉持氏の『再タッグ』は“黒幕”の存在なくしては、実現しなかったでしょう」と語るのは、政界事情に詳しいジャーナリスト。同氏が指摘する黒幕とは「ゴーマニズム宣言」「おぼっちゃまくん」などのヒット作で知られる漫画家の小林よしのり氏だ。続けてこう話す。
「もともと小林氏は、山尾氏の『憲法問題』に関する見識を高く評価していて『国のために絶対に必要な政治家』とまで語っている。そして、小林氏の主催する私塾で『師範』を務めているのが倉持氏。憲法の知識とロビー活動などの行動力から、小林氏は倉持氏にも絶大な信頼を寄せているんですよ。小林氏本人も『ノンストップ!』(フジテレビ系)の取材に、山尾氏と倉持氏から倉持氏の政策顧問就任を事前に相談されていたことを明かし、『OKを出した』と答えています。現政権の『憲法改正案』に反対する小林氏が『再タッグ』を実現させたんです」
さらには「小林氏がふたりの『不貞関係の事実』を認めてしまっているともとれるコメントをしているんですよ」との驚きの指摘もする。
「小林氏は11月7日のブログで山尾氏の問題に触れる中で、山尾氏に向けて『姦通罪の名残りなど粉砕しろ!』と綴り、マスコミや、不貞を疑う人たちに向けては『いつまで姦通罪の名残りに酔ってるんだ?』と書いちゃっているんです。この書き方だと『過去であれば姦通罪にあたる関係』が山尾氏らにあった、と受け止める人は多いと思いますよ。もっとも、小林氏は、旧刑法では不貞が犯罪行為だったから、今でも“不貞行為があったかどうか”に対しては厳しい目を向けられる、ということを『姦通罪の名残り』と言いたかったのかもしません。だとしても、今なら不貞行為は犯罪ではないのだから、本人が説明を尽くしていなくても、不貞疑惑自体を持ってはいけないと強制しているようで、違和感を覚えますね」(前出・ジャーナリスト)
山尾氏と倉持氏を再び結びつけた小林よしのり氏。かつて「おぼっちゃまくん」で小学生をトリコにした漫画家は、いまや“平成のフィクサー”になったのかもしれない。
(白川健一)