コインチェック社から580億円分の仮想通貨「NEM」が不正漏洩した問題。お笑いコンビ・サバンナの八木真澄が30万円分のNEMを塩漬けにされるなど、お笑い業界にも多数の被害者がいることがわかった。八木は2月4日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)にVTR出演し、相方である高橋茂雄とのコンビ格差を埋めるために仮想通貨に手を出したと告白。しかし相場の上げ下げがある仮想通貨では着実に儲かる保証がない中で、なぜ芸人たちは安易に手を出してしまったのだろうか。
「仮想通貨はブロックチェーンと呼ばれる高度な技術を利用しており、本来なら安全性も担保されているはずなのですが、今回はコインチェック社のあまりにずさんなデータ管理に問題があったとされています。ただ取引価格の上げ下げについてはNEM自身の技術面はほとんど影響しておらず、ほとんど投機状態になっていたのが実情。そんな鉄火場では株相場でもそうですが、ちょっとした情報を握っている者が有利な立場となります。そんな中で芸人たちは、芸能界ならではの独自のネットワークから『NEMは儲かる』と聞いていたことで、みずからが有利な立場にあると過信してしまったのかもしれません」(IT系ライター)
芸能界では昔から、インサイダー取引ぎりぎりの裏情報を入手し、株式相場で一儲けしたという話は珍しくない。そんな芸人たちと同じ理由で今回、大きな損失を出したIT企業関係者もいるという。誰でも知る某大手IT企業に勤務するスタッフが匿名でつぶやく。
「いやあ、150万円いかれちゃいました…。ウチの会社がNEMに関わっていたわけではないのですが、同僚にも仮想通貨に手を出していたヤツは多く、『今、手を出さないのは損』という認識が広まっていたほど。実際、昨年末にビットコインが暴騰した際には何人もの同僚が荒稼ぎしたとの噂もありましたからね。社内では『暴落しそうな時は情報がいち早く伝わる』との声もあったのですが、今回は暴落ではなく漏洩ですから、そんなトラップもあるのかとまさに誤算でした」
つまり芸人もIT関係者も「他よりも早く情報が手に入る」と過信していたのか。しかし世の中にそんなウマい話はそうそうないはず。漏洩被害に遭わなかった芸人たちの間でも、損切り覚悟で仮想通貨を手放した者は少なくないのかもしれない。
(金田麻有)