抜群のスタイルとGカップバストで、グラビアでも活躍する江口ナオ(43)。そんな彼女は、日本を代表する映画監督の大作でも、その肢体を存分に披露していた。
江口にとっても、日本映画にとってもエポックとなったのが、「マークスの山」(95年、松竹)だ。社会派・崔洋一がメガホンを取り、中井貴一と萩原聖人が主演したサスペンス大作だが、この中で江口は連続殺人の最初の被害者となる暴力団員役・井筒和幸のオンナを演じた。
「最初は私、井筒さんが映画監督だと存じ上げなくて(笑)。そんな私に井筒さんは『こうしたらいいよ』などと、アドバイスしていただいたんです」
彼女の役柄は単なる情婦ではなく、重度の覚醒剤中毒者。その彼女を確保しに来た警察を相手に、全裸で大立ち回りを演じたのだ。
「脚本では『正気じゃないくらいに暴れる』と書かれていました。だから必死で大暴れして‥‥。刑事が私にパンティをはかせようとするのですが、それを蹴り上げるみたいな」
実はこの時、全裸で暴れる江口のヘアはバッチリと映り込んでおり、これこそが「日本映画で初めてヘアが見えた作品」とも言われている。
「初のヘアとも言われるのですが、実のところ暴れる演技に必死で(笑)。正直、恥ずかしいとか感じている場合ではなかったですね」
ヘアも、振り乱すGカップも、当人にとっては芝居でいっぱい──演者とはそういうものなのであろう。
そんな彼女が作品を見て、「これはすごい」と感じ入ったのが、主演格の名取裕子の“艶技”だった。
「ともかく、大人のオンナの色気というか、エロスというか。当時は私も若かったですから、ただただ、すごいと感心しましたね」
江口がオンナの色気に悩殺されたシーンは、犯人役の萩原とのカラミだ。
名取がみずから全裸になり、ベッドで寝ている萩原をむさぼる。さらに騎乗位で愉悦の表情を魅せる名取は、まさにオンナの色気ムンムンであった。
この他にも白衣でのフェラシーンなどがあり、大胆な濡れ場が多い作品としても話題になったのだ。
そんな「マークスの山」から9年後、江口が大人のオンナの色気を存分に見せつけたのが「スパイ・ゾルゲ」(03年、東宝)。監督は女性を撮らせたら天下一品の巨匠・篠田正浩である。
「外国人相手の娼婦役だったんです。その当時の時代背景もあって、しゃべり口調をゆっくりとするよう、監督から指示をいただいたのを覚えています。それと娼婦だけに『女性のエロスが大切だ』とも」
実在したスパイ、リヒャルト・ゾルゲ役を演じたイアン・グレンを相手に、江口の熱演は戦中にふさわしく、昭和モダンの巻き髪とつややかな着物姿での登場から始まる。祖国を裏切るスパイとして葛藤し、涙を流すゾルゲ。そこへ彼女は「どうして泣いてるの?」と諭すように話しかける。
スルッと脱いだ着物の下は全裸で、Gカップと形のいいお尻がカメラに映り込む。そして、口づけとともに「これからイイ女と寝るというのに‥‥」と言いながら、ベッドに倒れ込むのであった。
「『マークスの山』は、ただ必死でしたけど、さすがに年月を経て、色気を意識した演技を心がけるようになりましたね」
今がまさに女盛りの江口。今一度、その肢体をスクリーンで観たいと思うファンは多いだろう。