今大会で史上3校目となる春連覇を狙う大阪桐蔭が3月31日に第一試合で、3回戦を明秀学園日立(茨城)と戦うが、優勝すれば春のV回数も3回と、歴代2位タイに躍り出る。その最初の優勝が2012年第84回春の選抜。立役者はエース・藤浪晋太郎(阪神)であった。
この大会、大阪桐蔭は初戦で最大の難敵と対戦する。大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)擁する花巻東(岩手)である。好勝負が期待されたが、試合は一転、意外な展開を見せた。
先手を取ったのは花巻東。2回裏に大谷が藤浪から右中間スタンドへ豪快な1発を放ち、1点を先制。4回裏にもタイムリーで1点を追加して、5回を終わって2‐0とリードする。だが、大阪桐蔭ベンチはまったく慌てていなかった。故障の影響もあって、昨年秋はまったく登板しなかった大谷の状態を見越して後半勝負に持ち込んだのだ。その思惑が6回表に実る。2四球とタイムリー二塁打などで3点を奪い、逆転に成功。7回表には2ラン、9回表にも4点を追加し、9‐2で圧勝したのである。藤浪は前半こそ失点したものの、後半は花巻東打線を寄せ付けずに12奪三振。みごとな完投勝利であった。
この後、大阪桐蔭は九州学院(熊本)を5‐3、浦和学院(埼玉)を3‐2、健大高崎(群馬)を3‐1といずれも接戦で制して決勝戦へと進出。この3試合で藤浪は22回を投げ、被安打19、奪三振23、自責点2で投げ抜いた。しかもすべての試合で150キロを計測していたのである。
迎えた決勝戦の相手は東北勢として甲子園初優勝を狙う光星学院(現・八戸学院光星=青森)。1回裏に大阪桐蔭は2ランで先制。3回表に藤浪が連続二塁打を浴びて同点とされるが、その裏にタイムリー三塁打などで3点を勝ち越し主導権を握った。藤浪はこの大会最多となる12安打を喫したが、この試合でも150キロを記録するなど要所を締め3失点で完投。7‐3で大阪桐蔭が春の選抜初優勝を飾ったのである。
大阪桐蔭の2度目の選抜優勝は記憶にも新しい昨年だ。決勝戦では履正社との大阪対決を制し、8‐3で2度目の優勝を飾った。初回の先頭打者ホームランで1点を先制すると2回表と6回表にもソロで1点ずつを追加。8回裏に一時同点とされたものの、9回表に再び2ランなどで5点を勝ち越し。ここ一番での勝負強さが光った。
今年のチームにはこの時の優勝メンバーが複数残るうえ今秋のドラフト候補も多数そろえた、まさに高校野球版“銀河系軍団”となっている。史上3校目の春連覇へ! その期待は大きい。
(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=