夏競馬も大詰めを迎えた。新潟は新潟2歳Sがメインだ。来週、札幌2歳Sが控えており、フルゲートにはならないだろうが、それでも顔ぶれは悪くない。走破時計、レース内容を思うと、クラシック戦線で活躍しそうな馬も少なくなさそうだ。
ただ、まだキャリア1、2戦の馬ばかり。これから大きく成長していく馬も少なくなく、評価どおり簡単には決まりがたい。
馬単が導入されたのが02年。これまでの16年間で1番人気馬は7勝(2着2回)、2番人気馬は1勝(2着2回)。大きく荒れることもあるが、それほど多くはない。ただこの間、1、2番人気で決まったのは、わずか2回のみ。まずは中穴傾向の重賞と言っていいだろう。
さらにデータを見てみよう。過去16年で牡馬が10勝(2着9回)、牝馬は6勝(2着7回)。勝ち数は牡馬が多いものの、出走頭数を思えば牝馬のほうが勝っていると言ってもいい。過去には牝馬同士で決着したこともあり、牝馬を軽く見るのは禁物だ。
期待を寄せたいのはその牝馬。エイシンゾーンをイチオシしたい。
デビュー戦はクビ差の辛勝だったが、3着以下を離してのもので、走破時計も優秀。最後は囲まれる形で抜け出すのに苦労していたが、しっかりした末脚で2着馬をネジ伏せたように、レース内容はよかった。
続く前走の中京2歳Sは3馬身差の完敗。が、道中、引っ掛かって折り合いを欠く場面がありながら2着を確保したもので、評価を下げるのは早い。多分に2走目のポカ(2走ボケ)だったのではないだろうか。
前走後はここ目標にしっかり調整されてきており、出走態勢はまず万全と言っていい。1週前の追い切りも軽快でリズミカルだった。
前2走とも左回りの中京。決め手は鋭く、平坦の新潟マイル戦は持ってこいだろう。
「落ち着きを取り戻しており、前の馬を壁にして、しまいを生かす競馬をしたい。相手は強いが、そう差はない」
と、松元茂調教師は期待のほどを口にする。良馬場条件に、大きく狙ってみたい。
逆転候補と見たいのも、牝馬のジョディーだ。デビュー戦の前走から斤量が2キロ増えるのがどう出るかだが、牝馬にしては馬格もあり、そう心配する必要はないはずだ。
その前走の新馬戦は、楽々と逃げ切ったもの。素質はかなりのものと言ってよく、気性も素直なので抑える競馬も可能だろう。
こちらは4代母グローイングトリビュート(米国最優秀繁殖牝馬に選出された名牝)で、一族にシーヒーロー(ケンタッキーダービー)、モーツァルト(ジュライC)、イースタンエコー(フューチュリティS)、そして米3歳女王ブライダルフラワーなど、GI勝ち馬がキラ星のごとくいる良血。チャンスは十分あると言っていいだろう。
キーンランドCも牝馬の活躍が目立つが、狙ってみたいのは、3歳牡馬のダノンスマッシュだ。
前走は初の古馬相手にゴール前鋭く伸びて差し切り勝ち。6ハロンのスプリント戦は初めてだが、資質の高さをみごとに示して見せた。マイルのGI戦、朝日杯FS、NHKマイルCでも差のない競馬をしており、ならばベストの6ハロン戦での期待は膨らむというものだ。
前走後はここを目標に乗り込まれており、仕上げに抜かりはない。力強い走りっぷりから、初めての洋芝でも問題はなく、むしろ合っていると見ていい。好走必至と見た。