新潟、小倉、札幌。白熱の戦いが繰り広げられてきたローカル夏の陣は今週で閉幕。その新潟での掉尾を飾るのが、新潟記念だ。3歳上オープンによるハンデ戦で、別表を見てのとおり、フルゲート(18頭)になる公算が濃厚。見応え満点の激しい競馬になること請け合いで、馬券的にはおもしろく、また難解だ。
前走のエプソムCで初重賞制覇を果たして意気上がるレイエンダ、目下3連勝中の上がり馬カヴァル、小倉記念2着惜敗のカデナ、上昇著しいサトノキングダムにジナンボー、そしてダイワキャグニー、ユーキャンスマイルが人気どころだが、これだけ役者がそろうと、目移りしてしかたがない。
悩ましいかぎりだが、02年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は8回(馬連5回)。この間、1番人気馬は3勝(2着3回)、2番人気馬は2勝(2着2回)と、データからも一筋縄では収まらないことがわかる。波乱の目は十分とあって、穴党としては気合いが入る。
また、最も連絡みしているのは5歳馬で7勝、2着9回。4歳馬がそれに続く形だ。ならば生きのいい4歳、5歳馬に目を向けるのが筋か。
とはいえ人気、有力どころというわけにはいかない。最も期待を寄せてみたいのは、フランツだ。
準オープン(3勝クラス)のむらさき賞を勝ち上がっての昇級緒戦。一気に相手が強くなるので評価はイマイチだが、この馬の潜在能力の高さをもってすれば、十分通用していい。そうみての狙いだ。
前走は4角最後方に近い位置取りながら、最速の上がり脚で差し切り勝ちを演じたもの。先行馬ペースの中、簡単にできる芸当ではなく、このへんからも力量の高さが察せられよう。
今回は3カ月ぶりの実戦となるが、これは予定の行動。前走後すぐにこのレースを目標に定め、短期放牧でリフレッシュされたあと、丹念に乗り込まれて調整されてきた。1週前の追い切りも文句なく、臨戦態勢に寸分の狂いもない。
「暑さ負けせず、しっかりと稽古が積めた。素質からこの相手でも、ハンデをもらえばヒケは取らない」
音無調教師もこう言って自信をチラつかせるほどだ。
そのハンデだが、おそらく53~54キロ。であれば、互角に渡り合っていい。
フサイチコンコルド(ダービー)を筆頭としてヴィクトリー(皐月賞)、アンライバルド(皐月賞)など近親、一族に活躍馬がズラリといる良血。また、間隔をあけたほうが走るポン駆けの利く馬。今回は走れる条件がそろっており、大きく狙ってみたい。
小倉のメイン小倉2歳Sは、距離が1200メートルの短距離とあって、スピード豊かな馬がそろった。
狙ってみたいのは、トリプルエースだ。
デビューは6月の阪神。馬場が悪く(稍重)、時計は平凡。しかもクビ差の勝利とあって評価はそれほどではない。が、断じて軽く見てはいけない。
「まだ余力はあった。今後が楽しみ」とは、コンビを組む和田竜騎手の弁だったが、だからこそ、すぐさまここに目標を置き、じっくりと調整してきた。
1週前の追い切りも軽快で、力を出せる仕上がり状態にあるとみていい。
ヴァロリス(英オークス、愛1000ギニー)という名牝にさかのぼる欧州屈指の名門の出。大種牡馬ミスタープロスペクターの4×3の近親配合馬(奇跡の血量)であるのも魅力。期待大だ。