今週の東京競馬場は、共同通信杯がメイン。頭数は少ないものの、今年もまた、なかなかの好メンバーによる争いになる。
京都2歳Sの覇者マイラプソディを筆頭として、目下2連勝中のココロノトウダイ、札幌2歳S2着以来、5カ月半ぶりの実戦になるサトノゴールド、良血フィリオアレグロ(香港ヴァーズ、宝塚記念を制したサトノクラウンの弟)といった面々だ。
恐らくここで勝ち負けする馬は、今春のクラシックで上位争いを演じるような存在になるに違いない。
近年を振り返っても12年ゴールドシップ(皐月賞、菊花賞などGI6勝)、14年イスラボニータ(皐月賞)、15年リアルスティール(ドバイターフ)、16年ディーマジェスティ(皐月賞)、17年スワーヴリチャード(大阪杯、ジャパンC)など、ここを勝てば今後の活躍が保証されたようなもの。まさにファンにとって目が離せない重要な一戦と位置づけられていい。
よって、人気、有力どころは素直に評価しなければいけないだろう。データもそのことを教えている。
このレースに馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単による万馬券は3回(馬連は0回)。この間、1番人気馬は4勝(2着5回)、2番人気馬も4勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回。まずは評価どおりに決まる公算が大きい重賞である。
そうしたことから、前記した有力どころを軽くみるのは禁物だ。
ただ、どうだろう。最有力とみられるマイラプソディは、これまで3戦3勝といずれも強い内容だったが、戦ってきた相手を考えると、手放しの高い評価はいかがなものか。
母はGI勝ち馬で血統的背景もいいが、母系そのものはスピード色が濃く、成長力を問われると、首をかしげたくもなる。しかも今回は3カ月ぶりの実戦で、賞金的にもクラシックの出走権は十分に得ている。であれば、ここは余裕残し、8分程度の仕上がり状態で、本番(皐月賞)を意識した作りではないだろうか。
さらにココロノトウダイ、サトノゴールドもひと息入ったあとの一戦で、多少なりとも割り引く必要がありそう。つまり、伏兵視されている他の馬が台頭する余地は十分にあるのではないだろうか。
1勝クラスでも怖い存在は何頭かいるが、最たる存在は、ダーリントンホールで、この馬を中心視してみたい。
前走の葉牡丹賞は3着と1番人気を裏切る結果になったが、3カ月ぶりの実戦がたたったようだ。前走比12キロ増の馬体重。前半、折り合いを欠く場面が何度か見られたが、重め残りの状態だったことが敗因とみてよさそうだ。
しかし、使われて大幅良化。この中間は丹念に乗り込まれており、馬体が締まっていい雰囲気に仕上がっている。1週前の追い切りも滑らかで実によかった。
「ひ弱な面が消えてきて、かなり成長してきている。まだこれからの馬だが、楽しみ」
木村調教師は、こう言って巻き返しを期している。
父は英ダービーなどGI4勝の欧州チャンプで、母系も欧米の一流血脈。大型馬だけに、広い東京コースも合っていそう。期待は大だ。
穴は同じ1勝馬のビターエンダーだ。こちらも前走の京成杯(4着)は余裕残しの状態(前走比プラス12キロ)。それでも勝ち馬とはコンマ5秒差だった。オルフェーヴル産駒で奥があり、一発があっても不思議はない。