長谷川博己主演のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が好調である。放映前はヒロイン役だった沢尻エリカの逮捕劇で撮り直しに追われ、初回が2話遅れるという前代未聞のアクシデントもあったが、ここまで2ケタの視聴率をキープしている。
ドローンを駆使したダイナミックな撮影や、原色を鮮やかに散りばめた衣装や風景など、人気の高い「戦国大河」に、さらに新風を巻き込んでいる。
そんな「麒麟がくる」は3月22日で10回目のオンエアとなったが、特撮マニアも喜ばせる現象があった。それは、第1回からのタイトルが、ことごとく特撮ドラマの金字塔である「ウルトラセブン」(67年、TBS系)をリスペクトしている点だ。
例えば初回の「光秀、西へ」は、セブンの「ウルトラ警備隊西へ」(17話)のようだと早くも話題になった。第4話の「尾張潜入指令」は、セブンにおける「アンドロイド0指令」(9話)に、5話の「伊平次を探せ」は、文字こそ違うがセブンの「明日を捜せ」(23話)と、6話の「三好長慶襲撃計画」は、セブンの39話「セブン暗殺計画」と符合する。なんと、4~6話まで3話連続であった。
7話から9話までは関連はなかったが、10話に特撮ファンが涙するタイトルがやってきた。徳川家康の幼少期・竹千代をメインにした「ひとりぼっちの若君」は、セブン屈指の名作で知られる「ひとりぼっちの地球人」(29話)と明らかに重なる。
そもそも表題の「麒麟」とは、乱世を救う平和の使者とされる生き物として言い伝えられてきた。宇宙からやって来た「ウルトラセブン」も、侵略者から地球を救う使命を持っていた。どうやらこの先も、両作のリンクは続きそうである。
(石田伸也)