新型コロナウイルスの感染が拡大する中、慌ただしく桜花賞、皐月賞が行われたが、今週から舞台は東京、京都開催に移行する。そして来週から再びGI戦が始まることになるが、コロナ禍をなんとか避け、無事に競馬が続けられることを祈るのみだ。
今週はGI戦の、いわば谷間。それでも東西とも注目すべき重要な一戦がメインで、好メンバーがそろう。東京開幕週のそれは、オークストライアルのサンスポ賞フローラS(上位3着までに優先出走権が与えられる)。フルゲート(18頭)必至とみられており、桜花賞に出走しても上位争いを演じられたのでは、と思える馬も見当たるほど。
中でもスカイグルーヴはその筆頭だろう。牡馬に伍しての京成杯は2着に敗れたが、正攻法に出ての惜敗。叔父に、あのドゥラメンテ(皐月賞、ダービー)がいる良血であり、早くからオークス路線のシナリオができていた逸材だ。
その他にもアカノニジュウイチ、ウインマリリン、クロスセル、ホウオウピースフル、レッドルレーヴなど各厩舎期待の素質馬が有力視されており、まさにオークスを控えて目が離せない重要な一戦である。
ただ、このレースは人気、有力どころで決着することは少ない。03年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は6回(馬連では5回)。この間、1番人気馬は6勝(2着2回)、2番人気馬は3勝(2着4回)で、1、2番人気馬によるワンツー決着は4回。荒れるか、堅いか、両極端でもあるが、波乱含みの一戦であることには違いない。
その理由の一つとして言えるのは、コース形態だろう。中山のマイル戦と並んで、府中の芝2000メートルは外枠が不利だからだ。スタートして加速がつくところに急に折れる最初のコーナーがあり、多頭数になるほど外枠を引いた馬はロスを強いられやすいのだ。
もちろん、7枠、8枠でも勝ち負けした馬はいるが、だいたいにおいて力が抜けて有力視されていた力量馬。そのへんは知っておくべきだろう。
さて今回は、1勝クラスの中にも力を秘めた魅力的な存在が少なくない。
除外のおそれもあるが、穴党としては、抽選待ちの1勝クラスの馬に目をつけたい。狙ってみたいのはウィスパリンホープである。
未勝利戦を勝ち上がったばかり。それも走破時計は平凡で、しかもここが3カ月半ぶりの実戦。どうみても評価は低いはず。しかし、期待が大きいからこその挑戦であることも知るべきだ。
前走後は短期放牧でリフレッシュ。早くからここを目標に、しっかりと調整されてきている。先週、今週とハードに追い切られ、文句なしの迫力ある動きを披露していた。
「素質はヒケを取らない。ここでどこまでやれるか、強敵相手でも楽しみのほうが大きい。ここにきての成長ぶりは著しく、心身ともにたくましくなっている」
とは、昆調教師の弁。
牡馬勝りのパワフルな馬体はホレボレするばかりで、素質の高さは一目瞭然。ならば、真ん中より内めの好枠に入ることを条件に大きく狙ってみたい。
祖母のキャロティーンは、イエローリボン招待Sなど、米GI2勝馬。名手・横山典騎手とのコンビも魅力。チャンスは十分とみた。
穴で推したいのは2頭。同じ1勝クラスのセイウンヴィーナスとリヴァージュだ。ともに相手なりに走る勝負強さがあり、状態も上向き。こちらも抽選枠を突破し、好枠を引くようならおもしろい。