今週はGI戦の谷間で、東はGIIアルゼンチン共和国杯がメインだ。
春の目黒記念と同じ格付け、そして同じ舞台で行われるハンデ戦だが、このあとにジャパンCや有馬記念が控えており、近年は目黒記念よりもこちらのほうが、より重きを置かれて見られるようになっている。
今年もなかなかの顔ぶれだ。昨年の菊花賞で2着惜敗したサトノルークス、新潟記念、毎日王冠ともに3着のサンレイポケット、春の目黒記念で僅差2着だったアイスバブル。さらに天皇賞・春4着のユーキャンスマイル、AJCC3着のラストドラフトなど役者がそろい、しかもフルゲート(18頭)必至。熱のこもった激しい競馬が展開されそうで、目が離せない。
馬券的にもおもしろいが、難解このうえない。というのも、前記5頭のほかにオーソリティ(青葉賞)、トーセンカンビーナ(阪神大賞典2着)、メイショウテンゲン(同3着)といったところが人気、有力どころに数えられ、伏兵陣も多彩。いずれの馬が勝っても不思議はないのだ。
まず、データをひもといてみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券は5回(馬連2回)。この間、1番人気馬は4勝(2着2回)、2番人気は5勝(2着3回)。ただ1、2番人気馬によるワンツー決着は、わずか2回のみ。極端な大穴は少ないものの、中穴傾向のハンデ重賞と言っていいか。
年齢的には活力あふれる4歳馬が9勝(2着7回)をあげており、次いで充実の5歳馬が4勝(2着6回)、そして6歳馬の4勝(2着3回)と続き、7歳以上馬の連対はない。
また、出走頭数が少ないわりに3歳馬もよく連対を果たしており、そういう意味でもオーソリティは要注意である。
ハンデでは56キロ以上の重い斤量を背負った馬がよく健闘していて、実績馬はハンデが重いからといって軽視はできない。
こうしたデータを考慮して、最も期待を寄せたいのは、サンアップルトンだ。
「背腰が弱く、力がつききっていない。本格化するのはまだ先」と、中野栄調教師は毎度のように、レース前には控えめにコメントするが、それでいてトントン拍子にオープン入り。
昇級初戦となった日経賞では、中間、調子を崩し、決して順調ではなかったにもかかわらず、見せ場たっぷりに差のない4着に頑張ってみせた。力を秘めていればこそである。
その後は無理がたたって軽い骨折で休養を余儀なくされたが、復帰後のオールカマーは6着。猛暑で調整が遅れ、明らかに余裕残しの状態だった。それでも大きく負けたわけではなく、前走後は、ここに照準を合わせて調整されてきた。それだけに、この中間は本来の姿を取り戻しており、すこぶる順調だ。
「勝負強く、レースセンスがある馬。変わり身に期待したい」と、中野師はヤル気をにじませる。
稽古の動きも軽快で、1週前の追い切りは実によかった。ならばチャンスがあっていい。
この馬も活躍目覚ましい4歳馬。ハンデは恐らく前走より1キロ軽い、日経賞と同じ55キロだろう。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
逆転候補に挙げたいのはバレリオだ。こちらは5歳馬だが、大事に使われてきただけに、ここにきての充実ぶりが目立っている。
今回は札幌戦以来2カ月ぶりの実戦。ここを目標に抜かりなく調整されており、出走態勢はきっちり整っている。
曽祖母ダリアは、1970年代を代表するGI7勝の女傑中の女傑で、血統的にみて、今後の活躍も見込める馬。恐らくハンデは55キロ。一発があっていい。