22年の中央競馬の掉尾を飾るのは、2歳馬によるホープフルS。第39回を数えるが、17年からGIに昇格し、18年の勝ち馬サートゥルナーリア、19年コントレイルが同じ舞台で争われる皐月賞馬に輝いたように、極めて重要な一戦である。
馬券戦略としても、そうした視点に立つことが基本だろうか。
実際、評判馬が好結果を残している。02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単での万馬券は3回(馬連1回)。この間、1番人気馬は8勝(2着5回)、2番人気馬は6勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は5回と、比較的順当に収まっているGI戦だ。
それでも今回は素質馬ぞろい。簡単に人気どおりの決着をみせるかは微妙である。しかも各馬の力量に大きな開きがあるとは思いにくい。レベルの高い、見応え十分の競馬が繰り広げられそうだが、穴党として期待を寄せたいのは、セレンディピティだ。
前走、未勝利戦の勝ちっぷりが実によかった。スタートで後手を踏み、後ろの位置取りになったが、徐々に進出。直線に向くと矢のような末脚で一気に突き抜け、2着馬に4馬身もの差をつける快勝劇だった。
「まだ幼さは残るが、素質はかなりのもの。今後が楽しみ」
とは、音無調教師の弁。
前走後は短期放牧を挟んで、しっかりと調整されており、中間の稽古の動きはリズミカルで実にいい雰囲気にある。厩舎関係者も「ゲート練習を重ねているし、今度はスムーズにスタートを切れそう。落ち着きも出て、関東までの輸送も問題ない」と、口をそろえるほどだ。
フサイチコンコルド(ダービー)など近親、一族に活躍馬が多くいる血統馬で、バランスの取れた好馬体も魅力の馬。ここは勝ち負けになっていい。
逆転候補はハーツコンチェルトだ。前走の東スポ杯2歳S(3着)は、脚を余して負けた格好で、陣営にとっては悔しい敗北だった。
この中間の調整は盤石と思えるもので、セレンディピティと同様、強烈な末脚が武器の馬。走りっぷりが見ものだ。
23年1月5日に行われる中山金杯はレインカルナティオを主力に推す。昇級初戦となった前走のアルゼンチン共和国杯は前々で決着したレースだっただけに、最後方に近い位置取りでは、さすがに後ろすぎた。
ただ、11着に敗れたとはいえ、勝ち馬とは1秒差。ここを目標にこの中間はすこぶる順調で、まだ見捨てるわけにはいかない。
「前走は距離も多少長かったかも。使われつつたくましくなっており、ベスト距離での競馬なら」と、小西調教師も期待を込める。
シーキングザパール(NHKマイルCなどGI2勝)など近親、一族に活躍馬が多数いる血筋。中山は〈3 1 1 1〉とめっぽう得意にしており、巻き返しがあっても不思議はない。