5月19日から21日に岸田文雄総理のお膝元である広島で、G7サミット(主要7カ国首脳会議)が開催される。今回のサミットには日本(議長国)、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、EU(欧州連合)などメンバー国の首脳らのほか、オーストラリア、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、ブラジル、クック諸島、コモロなど招待国の首脳も参加する予定になっている。
そんな折、北朝鮮の金正恩総書記が不穏な動きを見せている。複数の外務省関係者、防衛省関係者によれば、北朝鮮がG7広島サミットの開催期間中に「軍事偵察衛星」の発射を画策しており、議長の岸田総理はもとより、参加各国の首脳らも神経を尖らせているというのだ。
北朝鮮による軍事偵察衛星の発射を巡っては先月、浜田靖一防衛相が「破壊措置準備命令」を発出。衛星が日本の領域内に落下する事態に備え、自衛隊は沖縄本島のほか石垣島、宮古島、与那国島やその周辺海域に、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備や、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦の展開を進めている。
外務省関係者が、北朝鮮の軍事偵察衛星を巡る最新の動きを明かす。
「北朝鮮が西海(ヘソ)にある衛星発射場周辺で、発射へ向けた準備を急ピッチで進めていることが、ここ2週間の分析で明らかになりました。金正恩総書記は先月、衛星の製造が完了したと明言した上で、計画期間内に発射するよう指示を出しました。サミット開催中の発射を狙った動きとみて、間違いありません」
では、この軍事偵察衛星がサミット開催中に発射された場合、どのような事態が予測されるのか。防衛省関係者が指摘する。
「今回のサミットにはアメリカのバイデン大統領のほか、韓国の尹錫悦大統領も参加する。その頭越しに通告もなく軍事偵察衛星を飛ばしたとなれば、厳戒態勢を敷いている米軍と韓国軍は、相応の軍事的報復に打って出ることになります。非常に危険な挑発行為であり、場合によっては一触即発の緊急事態に発展しかねません」
米韓合同軍が北の軍事偵察衛星を撃墜。こんな事態も考えられるということだ。