体温を超える猛暑の中、土用の丑の日はまさに「鰻一色」だった。7月30日はどこを歩いても、あちこちに鰻のポスターが貼られていた。持ち帰り店の前には行列ができ、スーパーでも鰻がこれでもかと並べられた。鰻料理店の前を通ると、早々に「本日の鰻は品切れとなりました」の貼り紙があったりも。
夏のスタミナ食に挙げられる鰻はなにも、土用の丑の日だけに食べるものではない。とはいえ、高級食材。頻繁に食べるというわけにはいかないのだが、最近は鰻メニューが居酒屋などで取り入れられているのもまた事実である。
「世界には19種類の鰻が存在しているのですが、そのうち食用はわずか4種類。海外でも親しまれており、イギリスやベトナム、ドイツやスウェーデンなどでは日常的に食卓に乗ります。ポーランドやオーストラリアなどで多い食べ方は燻製で、スウェーデンでは串焼きにしたり、直火にかけたり。クリスマスにはうなぎを丸焼きにする習慣もあるのですが、日本でもポピュラーなうな串がそれです。日本でももっと、日常的で親しみのある食べ物になればいいのですが…」(フードアナリスト)
鰻はビタミンやタンパク質が豊富な食材。最も多く含まれているのがビタミンAだが、視覚機能の調整、のどや鼻などの粘膜を正常に保つ働きがあるという。
「疲労回復などに役立つビタミンB1や、3大栄養素の代謝を助けるビタミンB2も豊富です」(前出・フードアナリスト)
日本列島を覆う異常な暑さをしのぐべく、ぜひ鰻食で体力を保ちたい。