12月に入り、朝晩冷え込んできたことで、庭先でミミズを目にする機会が減ってきた。実はこのミミズ、不思議なことに他の草食動物にとって毒性がある葉などを食べても平気なのだが、そのメカニズムは長年にわたり、謎に包まれていたという。
だからこそ、2015年に英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に「ミミズの消化管内には一種の特異な表面活性代謝物があり、そこから植物の毒を無効化する化合物が生成されている」との論文が掲載された際には、世界の研究者から「これで長年の謎が解明された」との歓喜の声が湧き起こったとされる。
なんでもこの物質は「ドリロデフェンシン」と呼ばれるもので、ヒルやイトミミズなどの他の近縁種からは見られない、ミミズ独自のものらしい。
これとは逆に、ゴビ砂漠周辺には、得体の知れない致死性の高い猛毒を体内に持つ、伝説の巨大ミミズが存在するという。それが「モンゴリアン・デス・ワーム」という未確認動物(UMA)なのである。アジア全土のUMAに詳しい研究家が説明する。
「モンゴリアン・デス・ワームは体長約2フィート(約60センチ)。頭も足もない巨大ミミズで、ゴビ砂漠の最も荒涼とした地域に生息し、通常は地中に身を潜めています。雨季になる6月から7月にかけて地上に現れ、獲物を捕獲するといいます。確かに体内には非常に強い毒性を持ち、毒液を吹きかけ獲物を仕留めるとされている。牛の腸に似ていることから、現地ではモンゴル語でオルゴイホルホイ(腸虫)と呼ばれ、恐れられています」
ただ、現時点でモンゴリアン・デス・ワームの捕獲例はなく、撮影された映像も存在していない。これらの情報は全て、目撃談と伝聞によるものだ。UMA研究家が続ける。
「1800年代初頭に現地調査に乗り出したロシアの調査隊が、全員が毒によって殺されたという伝説があります。その後、1990年初頭にもチェコの未確認動物学者が調査を実施したものの、見つけることができなかった。2005年には動物ジャーナリストらを中心とするイギリスの研究チームが捜索を実施しましたが、これも確認できませんでした。現地では数々の目撃談があることから、遭遇したら最後、間違いなく命を失う恐ろしい怪物として、伝説化しているようです」
全長1500キロ、総面積1295万キロといわれる広大なゴビ砂漠で、この怪物を見つけることは容易ではなさそうだが、今もどこかに身を潜め、獲物を狙い続けているのだ。
(ジョン・ドゥ)