羽田盃の舞台は外回りの1800メートル。地方競馬で最も長い直線(386メートル)でまぎれのない攻防が予想される中、改革元年とあって地方のホースマンたちの気持ちも高ぶるばかりだ。
「昨年311勝を挙げ、初めて南関東のリーディングに輝いた笹川翼騎手(29)も『中央の強い馬と戦えることによって地方馬のレベルアップにつながりますし、交流戦が増えることで大井にも今後いい馬が入って(入厩して)くると思います』と話していました」(坂巻氏)
その笹川騎手は中央のハビレに騎乗予定なのだが、中央から参戦する4頭について競馬専門紙「競馬エイト」の増井辰之輔トラックマンが次のように話す。
「ハビレはデビューから②①③①③着という堅実派です。メンバーがそろっていた3走前のヒヤシンスSでも、7カ月の長期休養明けながら、しぶとく追い上げてポテンシャルの高さを示しました。血統背景や体型から1800メートルはギリギリの印象もありますが、末脚が生きる展開ならチャンスはあると思います」
トライアルの京浜盃では、地方馬のサントノーレに7馬身以上も離されての3着だったが、
「レース後、ムルザバエフ騎手(31)が『1コーナーの不利が大きかった』と話していましたし、立て直すロスもありました。その時2着だったアンモシエラの坂井瑠星騎手(26)も『1コーナーで少し乗りかけられた』と。こちらは初めて芝に挑戦したホープフルSこそ15着に敗れましたが、ダートでは牡馬相手にも引けを取らない足跡が光ります。ブルーバードCでは短い直線で追い比べを制したように、勝負への執着心も一流。馬体を維持して臨めるかがカギになりそうです」(増井TM)
注目は、川田将雅(38)と新コンビを組む母ユキチャンで白毛のアマンテビアンコだろう。
「これまで4戦して①③①②着。勝った2レースとも良馬場で上がり3ハロン36秒台をマークしています。530キロ台の大型馬ですが重苦しさはなく、決め手も兼備している。前走の雲取賞はスタートでつまずいたのが痛かったですけど、その後はそつがない立ち回りで2着しました。羽田盃と同じ舞台を経験できたことでメドも立ちましたし、視界は明るいと思います」(増井TM)
その雲取賞を逃げ切ったのがブルーサンだ。
「デビュー当初は口向きの難しさを見せていて、中京の新馬戦は8着でしたが、その後、右回りのダートにターゲットを絞ってからは持ち前のスピードが表面化してきました。前走も完勝と言える内容でしたからね。2走前の京都(1勝クラス)でも不良馬場の中、好時計で逃げ切っていますし、脚抜きのいい馬場になれば警戒したい1頭です」(増井TM)
中央&地方の好メンバーによるガチ決戦が楽しみになるばかりだが、
「アジュディミツオーやフリオーソなどの地方の雄を育てた名伯楽の川島正行調教師が生前、競馬を美しい花を咲かせる桜の木にたとえて『中央が花なら地方競馬は根っこの部分になるんだよ』と話していたことを思い出しますね」(坂巻氏)
日本競馬の土台を担ってきた地方競馬の総売上額は昨年、2年連続で1兆円を超え、過去最高を記録した。まさに新「3歳ダート三冠競走」は、新たな歴史の幕開けとなるのだ。