魚住 諏訪さんは宝石商の3代目ですが、どうして継ごうと決めたんですか?
諏訪 子供の頃から宝石が身近にありましたし、先代の父の背中も見ていたので、自然に継ぐものだと思っていました。それはそれとして、やはり宝石の魅力ですね。ダイヤモンドは33億年から10億年前に地中奥深くで生まれたものですし、4000年前には宝石を仕立てる職業が存在していたことがわかっています。宝石ってすごいんです。
魚住 宝石を「地球の尊いかけら」と定義されていて、とてもステキだなと思いました。大学を卒業されてからアメリカの権威あるGIA(宝石学研究と教育機関)にアジア人として初めて入学されて学ばれたそうですね。
諏訪 はい。GIA卒業後は、ダイヤモンド研磨業者の大手・ボームゴールドブラザーズのダイヤモンドの選別部署で修業しました。研磨の練習もしましたね。
魚住 会社に入ってからは、サファイアの産地として有名なカンボジアのパイリン鉱山など採掘現場にも足を運ばれて、まさに宝石のことを知り尽くしていますね。
諏訪 宝石を持つ人のことを考えたら、知ってる人がちゃんとしたことを伝えなければいけませんから。
魚住 アサ芸読者にお勧めの宝石は何でしょう?
諏訪 カットや研磨を施さない「アンカットダイヤモンド」がいいと思います。10億年も前に生成したままのダイヤモンドで、正八面体で艶のあるものがおすすめです。ピラミッドのようなたたずまいは神秘的で、パワーを感じます。人が手を加えていないので1つ1つ全部違っていて、この世に2つとして同じものがないことも面白いです。
魚住 キラキラしていないので男性がつけても嫌味じゃないし、女性がイヤリングやペンダントにして身につけてもいいですね。
諏訪 私もアンカットダイヤモンドの指輪をしていると、パワーが出る気がするので、いつも身につけています。読者の皆さんが気軽に宝石をつけていただけるとうれしいです。
ゲスト:諏訪恭一(すわ・やすかず)1942年、東京都生まれ。諏訪貿易株式会社会長。慶應義塾大学経済学部卒。名店SUWAを経営する、宝石商の3代目。日本人で初めて米国宝石学会(GIA)宝石鑑別士の資格を取得。国立科学博物館の特別展を監修するなど宝石文化の普及にも努める。諏訪恭一出版記念 特別講演会「宝石 私の判断基準 宝石はなぜ価値があるのか」を10月16日(水)国際文化会館 岩崎小彌太記念ホールで開催。URLhttps://www.gemtrigon.com/
聞き手:魚住りえ(うおずみ・りえ)大阪府生まれ、広島県育ち。慶応義塾大学文学部卒。1995年、日本テレビにアナウンサーとして入社。報道、バラエティー、情報番組などで幅広く活躍。04年に独立し、フリーアナウンサーとして芸能活動をスタート。30年にわたるアナウンスメント技術を生かした「魚住式スピーチメソッド」を確立し、現在はボイス・スピーチデザイナーとしても活躍中。