春季キャンプ最大の目玉といえば、メジャーから男気復帰する広島・黒田博樹(40)。狂喜乱舞の盛り上がりっぷりで、その経済効果たるや、たった1人で阪神優勝時の3分の1以上を叩き出すというのだから、尋常ではない。
宮崎県日南市でキャンプ中の広島カープは、2月18日から沖縄に場所を移す。現在、アメリカで自主トレ中の黒田は「特例」により、18日に合流する「メジャー流」を許されている。そんな「黒田不在」にもかかわらず、早くもフィーバーが炸裂しているのだ。
キャンプ初日の2月1日、キャンプ地宮崎ではなく広島マツダスタジアムのグッズショップには約100人の徹夜組を含め3000人が押しかけ、黒田のレプリカユニホームが瞬く間に完売。この1日だけで昨年2月の1カ月分より多い売り上げだったというから、黒田サマサマである。球団は黒田人気を当て込んでか、330もの新グッズの発売を開始したが、
「実は今後、限定版ユニホームを販売しようとしているんです」
こう明かすのは、球団関係者である。
「70年代後半から80年代の黄金期のデザインで何パターンか作ります。8000円の通常のものに加え、2万円ほどの特注版も。例えば、黒田の背番号15と自分の名前を組み合わせたりもできる」
ファンはホーム用とビジター用の2着を買うから、かなりの収入になる。
「黒田バブル」はこんなものでは終わらない。すでに年間シート8300席が完売したのだ。5種類ある年間シートの平均座席料は約29万円。これが8300席分で、売り上げは24億円になる。さらに、
「広島は昨年初めて、年間観客動員が180万人を突破しました。それが黒田のおかげで約3割増しになると予測されています」(スポーツ紙デスク)
というから、54万人増。例えばチケット代を内野指定B席3000円で換算すると、約16億円の増収が見込めることになる。
続いては、放映権料。スポーツ紙デスクが続ける。
「ロッテ戦やヤクルト戦など、これまで売れなかった、あるいは巨人戦などとセット販売だったカードが地元テレビ局に単独で売れるようになります。1試合数百万円程度ですが、これで少なくとも数千万円はいくでしょう。それどころか、すでに日本シリーズの放映権の争奪戦も、NHKと民放各局で始まっています」
黒田見たさの全国カープ女子の遠征費も莫大な額が消費される。熱狂的なカープ女子が言う。
「基本的には関東にいるファンをカープ女子と呼びますが、延べ10万人ほどが広島を往復します。せっかく行くわけだから1試合だけということはなく、2試合は見ますね。試合後は広島OBが経営している飲食店などで飲みます。往復の新幹線代に飲み代とホテル代2日分を加えて、遠征1回につき5万円ほど使う計算になります」
これが10万人分で、50億円にもなる。
ここまでで経済効果は90億円以上。スポーツ紙デスクが畳みかける。
「旅行会社にはもともと『カープパック』というツアーがある。カープの練習場と選手寮が隣にある宮島グランドホテルに宿泊するというようなもので、オプションで試合のチケットが付きます。これが今年は『黒田観戦ツアー』と化します」
これらにグッズ売り上げが加わり、優勝すればさらに全ての売り上げが増える。黒田バブルの総額は、
「100億円どころか、150億円に届くかもしれません」(球団関係者)
日米通算200勝まで、あと18勝。もし今年達成できなければ、来年は「カウントダウンフィーバー」で、球団はさらなるウハウハに包まれる──。
昨年、もし阪神が日本一になった場合の経済効果は429億円との識者の試算があった。150億円はその3分の1以上。黒田に払う4億円の年俸など、激安以外の何物でもない。