やはりマイナー契約が関の山か。メッツ3AからFAとなり、メジャー復帰を目指す藤浪晋太郎が、進路決定を迫られている。
藤浪は現在、日本に帰国中。母校の大阪桐蔭高で自主トレを行っている。その姿を自らのインスタグラムのストーリーズでフォロワーに披露しているが、孤独なトレーニングが続く。藤浪を知るスポーツ紙記者が、現状を懸念する。
「自主トレといっても、キャッチボールやダッシュ程度ですからね。これから徐々にトレーニングの質、量ともに上げていくことになるのでしょうが、その程度ではスキルアップにはつながらない。頭を下げて古巣・阪神の選手の自主トレに参加する、ぐらいの気持ちがないとね。所属先が決まらない現状でモチベーションが上がらないのはわかりますが、そんな悠長に構えている立場ではないはず。そろそろ腹をくくる時期が来ています」
辣腕代理人のスコット・ボラス氏は昨年のウインターミーティング中に取材に応じ、
「(藤浪に関する)問い合わせは来ている」
と話しているが、吉報は届いていない。メジャーリーグの取材に携わるスポーツライターはその理由について、
「とにかく藤浪の高望みが原因」
と話し、こう続けた。
「この期に及んで本人がまだ先発、先発と騒いでいるのが大きな問題です。メジャーでは一流の先発投手の年俸が高騰している。その煽りを食って、ドジャースの世界一に貢献したジャック・フラハティのような好投手でさえ、どこのチームとも契約が結べていない。藤浪は確かに安価で契約を結べるかもしれませんが、すでに先発失格の烙印を押されています。獲得に乗り出す球団はそう出てこないでしょうね。今の藤浪の評価では、ブルペンの一員として迎え入れられることも難しいのでは」
世界一に輝いたドジャースでわかるように、優秀な中継ぎ投手の存在が勝敗を決める。確かにプエルトリコのウインターリーグで、藤浪はある程度の結果を残したが、投げさせてみなければわからない制球難を抱える投手に、その重要なポジションを任せる球団がそうそうあるとは思えない。そして今年で31歳となり、ベテランの域に差し掛かるだけに、大きな伸びしろは期待しにくい。
藤浪本人は現段階では、頭の片隅にも日本球界復帰という選択肢がない以上、残された道はひとつ。前出のスポーツライターによれば、
「昨季のように、いつでもマイナーに落とせる項目のあるメジャー契約すら難しいでしょうね。どうしてもアメリカにこだわるならば、マイナー契約を結ぶしかない。そうなれば、億単位の年俸は無理。ボラス氏にしても、それでは商売にならない。あまり粘り強く藤浪の行く先を探さない可能性があります。春季キャンプに招待選手として参加できるマイナー契約で手を打つのが、現実的な話じゃないですか」
招待選手でのキャンプ参加となれば、初日から首脳陣にアピールしなければ、ロースター入りなど夢のまた夢。まさに崖っぷちに立たされているのだ。
(阿部勝彦)