アサ芸読者の皆さん、こんにちは。女優の遠山景織子です。とても寒い日が続いていますが、いかがお過ごしですか? 私は無類の激辛好きなので、いつも体と口の中がヒーヒー、ポカポカする毎日を過ごしています(笑)。
いきなりひと言いわせていただくと、もっと皆さんに激辛の魅力を知ってほしいって思ってるんです!
私は、2~3年ほど前から、発汗作用や美肌にもいい韓国食を知って、激辛にハマッたんです。でも、ふとまわりを見ると、激辛を求めている人が少ないんですよね。何でこの魅力をわかってくれないんだろうって感じることもあって。だって、皆さんは料理を食べて、体中から汗が噴き出したり、鼻水が止まらなくなった経験って、おありでしょうか? 世の中、色々なレクリエーションがありますが、そんな刺激的な経験って、激辛料理以外にはありませんよね。ねぇ、ちょっとだけ興味が湧いてきたでしょ?
今は、一般的な一味や七味だけだと物足りないので、世界一辛いと言われている「キャロライナ・リーパー」という超激辛唐辛子などを買ったりしています。あと、市販の唐辛子の10倍の辛さと言われてる「舞妓はんひぃ~ひぃ~」という七味もお気に入りのスパイスです。もうほんとに口の中がヒーヒーしますよ。しかも、旨味もちゃんとあるので。どれくらい辛いと満足する? やっぱり、わざわざ買うならしっかりと汗をかけるくらいのものでなくては。それくらい辛くないと満足できないんですよ。
これくらいコアな激辛好きって、本当に少ないんですよ。だから、普段のお仕事でご一緒した人たちが、激辛好きってわかると、うれしくて。「あのお店、行った?」「何、入れて食べる?」なんて、めちゃくちゃ盛り上がって。ある人からは、「遠山ちゃん、激辛の話をする時が一番生き生きしてるよね」って言われるぐらいなんです(笑)。しかも、一緒に激辛を食べに行くと、すごい仲よくなってアツアツの関係になれちゃうんですよ。もしかすると、激辛は恋愛しているカップルにもオススメかもしれないですね。
本当は、自宅の料理も刺激的な激辛にしたいんですが、実は家族が苦手なんですよ(笑)。だから、私がお料理を作る時は、自分の分だけ取り分けて、辛いスパイスを入れてちょっとだけ辛くするみたいな。もう家族はその光景を見慣れているから、「あぁ、また辛くして食べるのね」という感じで、まったく激辛の世界には来てくれないですけどね。
オススメのお店ですか? 色々ありますけど、旨辛専門店「来たれ!激辛部!!アジア恵比寿ファイヤーガーデン」ですかね。料理もたくさんあって、辛さを調節できるので、そこで自分の激辛レベルを確認できます。私は、さらなる刺激を求めて、上級者向けの「チャレンジメニュー」を食べるんですよ。もうこの辛さは壮絶です。お店の注意書きに、「無理せず、健康を第一優先で」と書かれているぐらいの危険な辛さですが‥‥私は大好きなんですよね。あと、辛さの種類でもシビレ系が好きなら、東京・神田にある「鬼金棒」もいいと思います。味噌、唐辛子、山椒が効いたラーメンで、私は辛さレベルMAXに、さらに辛さをプラスして食べるんです。もう、口も心もシビレますよ。だから、お店のメニューで〝激辛〟って書いてるのに、「あれ?」って思うような辛さだと肩透かしを食らったような切なさがあって‥‥。そうやって辛さの刺激を求めすぎるから、友達には「変態」って言われるんですけどね。
あと、かなり私の辛さの耐性がついてきたせいで、韓国に遊びに行って、激辛料理を食べてもあんまり物足りなくて。韓国料理って、辛いイメージがあるじゃないですか? 唐辛子もいっぱいだし。でも全然。旨辛? いえ、私からすると、韓国料理は甘辛でした(笑)。どっちかと言えば、タイ料理の方が辛いかな。よく新大久保にあるお店にも行くんですけど、青唐辛子のナンプラーが出てくると、そのままザクザク、唐辛子の部分を食べちゃうぐらいです。やっぱり、変態ですよね(笑)。
ここまで来ると、若い女子たちが好きなパンケーキみたいなスイーツに、全然ときめかないようになったんですよ。口の中いっぱいに広がる優しい甘さより、口の中で暴れ回るような辛さを求めちゃうから。
だけど、料理本来の味を壊すようなことはしないようにしています。お刺身にタバスコをかけるとか、パフェに唐辛子を刻んで入れるなんていうことはせず、その時はそのままおいしくいただきます。〝追い辛〟ができるならお願いしますけど。それが、激辛好きのマナーだと思うんで。
そんな私でも難攻不落の辛い料理があるんです。先ほどお伝えした「来たれ激辛部」のチャレンジメニューにあるマドラスカレーです。これはもう、カプサイシンソースの海と表現したくなるような一皿で、口の中で辛さがふつふつと沸き立つような辛さ。見た目は、おいしそうなカレーで、一口目、二口目までは「おー辛くて来てるな!」っていう感じなんですが、もう三口目を口に運べず、力尽きるみたいな。
ルウもご飯も辛いから、口の中の辛さを調整する逃げ道が一切なくて、辛さの牢獄の中に閉じ込められたような感じで、「助けて!」って叫びだしたくなる刺激的なメニューです。だからもう、絶叫マシンと同じですね。他のチャレンジメニューはクリアできたから、今回は絶対に‥‥って思って挑戦するんですが‥‥。もう自分でもダメなのはわかってるのに、また挑戦してしまう。だから、いつも自分で自分に「だから言ったじゃん」って叱り飛ばすんですけど、また恵比寿の方へスーッと出かけていっちゃう。大げさですが、それくらい人生をかけられる激辛って、ちょっと素敵だと思いません? 私は、マドラスカレーをクリアできたら、またヒーヒー言いながら、次の辛さの頂上を目指すつもりですよ!
遠山景織子(とおやま・きょおこ)1975年、東京生まれ。93年、映画「高校教師」でヒロインに抜擢され日本アカデミー賞新人賞など多数受賞。1月25日より池袋シネマ・ロサにて公開映画「タイムマシンガール」(監督:木場明義)、2月27日より3月6日までIMA HALLにて舞台「Les Misérables」(演出:高橋征男)に出演。