寒い冬にトイレの回数が増える─。もしかしたら「頻尿」かもしれない。
一般的には起床から就寝まで8回以上の排尿が「頻尿」の基準とされる。尿漏れや尿失禁にもつながり、生活に支障をきたすこともあるため、トイレが近くなるこの季節はより注意が必要だ。
原因は様々だ。まずは寒さ。冬は夏に比べて、汗をかきにくくなる。汗によって排出される体内の余分な水分量が減少し、尿で排出される量が増える。さらに、寒さで交感神経の働きが活発になり、尿意をうながす神経を刺激したり、膀胱の筋肉が収縮して尿がためにくくなるケースもある。
他にも、膀胱に十分な量の尿がたまっていないのに膀胱が意思と関係なく収縮してしまう「過活動膀胱」、膀胱の「開け閉め」を担う尿道括約筋のゆるみ、高血圧、糖尿病、心因性のストレスで引き起こされるケースもある。前立腺肥大症、膀胱炎、尿道炎、腎疾患、さらに他の病気が潜んでいる可能性もある。寒さにかかわらず尿の頻度が高いと自覚する時は医療機関の泌尿器科受診したほうがいいだろう。
一番の対策は体を冷やさないこと。特に冷たい食べ物や水分の取りすぎは中から体が冷えて、頻尿に直結しやすい。利尿作用の高いカフェインやアルコールの摂取量にも気をつけたい。服装はマフラーや手袋をするなど、血流の多い首や手首、足首を冷やさないようにすることもポイントだ。他にも、軽い運動や骨盤底筋のゆるみを防止する筋トレもオススメの改善法だ。
尿漏れが心配な場合には、医療機関で膀胱の過剰な収縮を抑える薬を処方してもらうのもひとつの解決法だ。また、尿漏れ用パッドなど吸水ケア用品を活用してもいいだろう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。