プロ野球界では、東京でのスカウト合戦が熱くなりそうだ。昨季限りで現役を退いた和田毅氏が、ソフトバンクの「球団統括本部付アドバイザー」に就任した。主な仕事はスカウト活動のサポートと、トレーニング部門への助言だ。
「肩や肘を故障してリハビリの経験があるので、適任だと思います」(地元メディア関係者)
しかし「スカウティングのサポート」と聞いて、気になる情報がある。阪神の球団顧問となった岡田彰布氏にまつわるものだ。岡田氏は顧問就任を打診された際、2つの職務を依頼されている。ひとつはセ・リーグを中心とした他球団の動向視察で、もうひとつが「神宮の試合を見てほしい」というものだ。
神宮の試合とは主に東京六大学のことで、東都、首都リーグの主要舞台も神宮球場となっている。岡田、和田両氏とも早稲田大学OBであり、2人が愛着ある神宮球場の視察で、鉢合わせになる可能性が出てきた。
「近年、神宮球場でリーグ戦を行なう東都大学連盟からは、好選手が輩出されています。昨年のドラフト会議で4球団競合の末、楽天入団が決まった宗山塁は、東京六大学連盟所属の明治大学で活躍しました」(アマチュア野球担当記者)
岡田氏が第一次政権前の2軍監督だった頃、本人の強い要望により、スカウト登録もされていた。当時の神宮観戦が、2003年のドラフト会議での鳥谷敬の逆指名を引き寄せたとされる。阪神は岡田氏の眼力と情報網で、ドラフト戦線を有利に進めていきたいと思っているのだろう。和田氏もスカウティングに関わってくるとなれば、両球団の神宮視察はかなり熱いものになるはずだ。
「早大の3年生・伊藤樹投手が今秋のドラフト上位指名候補と目されています」(前出・アマチュア野球担当記者)
60代の岡田氏であれば、大学野球部に顔が利く役員などとは面識があるだろうし、まだ現場指導を続けている学友もいるはずだ。40代の和田氏には、現場指導にあたっている同世代が多いだろう。
「和田氏は大学で飛躍的な成長をし、プロ入りしました。これから伸びる選手を見つけ出すのでは」(前出・地元メディア関係者)
ソフトバンクには、東京や関東圏の学校からプロ入りした選手が多い。だが近年では、育成枠で獲得した選手の成長スピードがやや落ちており、和田氏が「これから伸びる選手」を見極める、難しい場面が出てくるだろう。早大OB同士の視察バトルが楽しみだ。
(飯山満/スポーツライター)