「紅い服の少女 第一章 神隠し/第二章 真実」。原題に「紅衣小女孩」という名が付くこの映画は、2022年9月に日本でも上映された、台湾初のホラー映画である。
2015年に台湾製ホラーとして初めて興行的に大成功を収め、2017年に公開された第2弾は、同年の台湾映画興行成績第1位に輝いた。
実はこの映画は実話をベースに作られており、その発端となったのが、1998年に台湾の心霊番組に投稿された1本の動画だった。
その動画には台中郊外の山中でハイキングを楽しむ、ある家族の様子が収められていた。映像の中にひとり、赤い民族服を着た見知らぬ少女が映っている。ほどなくしてこの家族がひとり、またひとりと謎の死を遂げ、奇怪な事件としてマスコミで大々的に取り上げられることに。
台湾には古くから、その下地となる不思議な妖怪の言い伝えがある。それが、魔神仔(モシナ)と呼ばれる妖怪の存在だ。オカルト研究家が解説する。
「台湾では近年になっても春から秋にかけ、老人や子供が山中で失踪する事件が頻発しています。不思議なことにその多くが、いなくなった所からはるか離れた場所で発見される、というケースが少なくありません。失踪者の多くは姿を消す前後の記憶が抜け落ちているものの、唯一共通しているのが、赤い服を着た小人のような女の子に出会い、気が付くと山の中を彷徨っていた、という点。台湾では古くから、人を山深くへと連れ去る小人のことを魔神仔と呼んで、恐れてきました。そのため、現在でも行方不明事件が起こると、新聞やテレビなどでは『魔神仔事件』と名付け報じるケースが多いのです」
数年前には80歳を超える足の不自由な高齢女性が突如として失踪し、1週間後に5キロ以上離れた場所で発見された。警察が付近の防犯モニターを確認したところ、その女性が山間部に向かって、ひとりでスタスタと歩いている映像が見つかったという。
「女性は自宅の中を歩くのもやっとで、ひとりで外へ出かけるなどありえない、と家族は主張しています。やはり赤い服を着た小人と会い、記憶がなくなったと証言していることから、これも現代の魔神仔事件に位置付けられています」(前出・オカルト研究家)
彼女は1週間、どこで何をして過ごしていたのか。「魔神仔」現象が解明される日を待ちたい。
(ジョン・ドゥ)