東洋水産のカップ麺「マルちゃん」のうどん「赤いきつね」のアニメCMが、一部で「性的だ」などと騒がれている。
若い女性(声優:市ノ瀬加那)が夜、吐く息が白くなるほど寒い部屋の中で、テレビドラマを見て涙を浮かべる。そしてでき上がった「赤いきつね」を前に、頬を赤らめながら麺をすすると「美味しい」とつぶやく。そんなCMである。これのどこが「性的」なのか。
どうやら「頬を赤らめた女性がクネクネする」のがけしからん、気持ち悪い、ということらしいのだが、
「これを『性的』だと言う人ははっきり言って、いやらしいアニメの見すぎでしょう。強いて言うならば、お麺をすする音や、お揚げを食べる口元のアップといったカットでそうした想像を働かせてしまうのかもしれませんが、まったくの過剰反応」(広告代理店関係者)
もちろん、マルちゃんの公式YouTubeチャンネルにアップされているCMにも「何が問題なのか分からない」と反論する声が多く寄せられ、削除には至っていない。
日清食品の「どん兵衛」シリーズのCMは過去、部屋で「どん兵衛」を食べる星野源のもとに、吉岡里帆演じる「どんぎつね」が現れるというシチュエーションだった。2024年からは男女のキャラクターが入れ替わり、「どんぎつね」を演じる板垣李光人が、年上お姉さんの吉高由里子に「どん兵衛」を食べるよう迫る設定になっている。
独身男性、もしくは女性のもとに見知らぬ異性が押しかけてくる構図が、見方を変えれば「性的」と捉えられるのだとすれば、全てのCМがダメだという思考回路になってしまう。
「性的論争」はどう決着するのか見えてこないが、そういえば2015年、明星食品のカップ焼きそば「一平ちゃん」のCMキャラクターとして、当時16歳の広瀬すずが登場したアレは、意図的だったかもしれない。
これから「一平ちゃん」を食べようとする男子のところに制服姿の広瀬が現れ、「マヨビームかけさせて」と、同梱されているマヨネーズを「ぶっちゅー!」と唇をとがらせて焼きそばに発射。マヨネーズで「LOVE」という文字を描き、振り返りながら「全部、出たと?」と尋ねるのだ。
今回の「赤いきつね」は、これとは明らかに違うのだが…。年々、コンプライアンスでがんじがらめになっていく世の中、CM作りにもバイアスがかかってしまうのか。
(魚住新司)