ビタミンには、体の機能を正常に保つ働きがある。
しかし、摂取しすぎると「ビタミン過剰症(ビタミン毒性)」を発症する危険があるのをご存知か!? これはビタミンの過剰摂取によって体にもたらされた不調や症状を指す。
特に脂溶性のビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKは、尿中に排出されずに体内に蓄積されやすいので注意が必要だ。ビタミンAはレバーや緑黄色野菜、ビタミンDはイワシやカツオなどの魚類やレバー、ビタミンEは植物油や大豆、ビタミンKは、緑黄色野菜や海藻、納豆や肉類、卵、牛乳などに含まれる。
「ビタミン過剰症」は過剰摂取したビタミンの種類によって症状が異なる。ビタミンAの摂りすぎは、食欲不振や悪心、皮膚乾燥、無気力、嘔吐、発疹、脱毛。ビタミンDは、食欲不振、頭痛、口渇のほか血液中のカルシウム濃度が高くなり、腎臓や血管などにカルシウムが沈着し、腎障害や高カルシウム血症を招く恐れがある。ビタミンKの過剰摂取は、下痢・悪心・嘔吐、溶血性貧血などが見られることもある。ただし、ビタミンEは過剰症の可能性は少ないとされている。
尿に排出される水溶性のビタミンも摂りすぎは禁物だ。ビタミンB6は神経異常、ビタミンB群のナイアシン(ニコチン酸)は、頭痛や皮膚の紅潮。同じくビタミンB群の葉酸も亜鉛の吸収を阻害する恐れがある。「ビタミン過剰症」は、薬剤やサプリメントの過剰摂取が原因であることが多いという。診断は血液検査で行われ、医師の指示で摂取を中止し、経過観察となる場合が多い。改善が見られない場合は他の治療が施される。
日頃から、過剰摂取に注意して、バランスのよい食事を心がけたい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。