3月16日に行われたGⅡ・金鯱賞(中京・芝2000メートル)について、本サイトがレース前日の15日に公開した記事では、
〈【金鯱賞・深掘り展望】着目点は「馬ではなく騎手」3連覇がかかるプログノーシスをねじ伏せる「激走馬2頭」〉
と題して、プログノーシス(牡7)の主戦ジョッキーである川田将雅があえて騎乗馬に選んだクイーンズウォーク(牝4)と、同じくデシエルト(牡6)の主戦である岩田康誠が選んだホウオウビスケッツ(牡5)の2頭を「激走馬」に抜擢。中でもクイーンズウォークを馬券のキーホースに指名した。
実は当日のパドックを通覧した瞬間、筆者はプラス10キロの「牛のような太め残りの馬体」で出走してきたプログノーシスの「凡走」と、「気合に満ちた柔らかな歩様」で抜群の気配を見せていたクイーンズウォークの「激走」を確信した。
15日公開の記事でも指摘したように、両馬はいずれも中内田充正調教師の管理馬。「同厩2頭出しは人気薄から」という、古くからある「競馬格言」そのままに、「川田がクイーンズウォークへの騎乗を選択したのもむべなるかな」と感じたのである。
はたせるかな、レースは制御不能に陥ったデシエルトが重馬場の前半1000メートル通過58秒2という超ハイペースの大逃げを打つ中、ホウオウビスケッツは大きく離れた2番手を、事実上の単騎逃げの形でじっくりと追走。クイーンズウォークはスタート直後から積極的にポジションを取りにいき、ホウオウビスケッツの数馬身後ろの3番手をガッチリとキープした。そして最後の直線でデシエルトをかわして先頭に立ったホウオウビスケッツをゴール直前、渾身の右ムチ連打でハナ差先着したのである。
深掘り展望で明言していた通り、筆者はホウオウビスケッツ以上の勝負気配が漂うクイーンズウォークの単複馬券で勝負。払い戻しは単勝820円、複勝220円と「まずまずの馬券」となったが、筆者は当たりやすい単複馬券とは別に、次のように付言していた。
「ただ、大きく儲けたい向きには、クイーンズウォークとホウオウビスケッツの両馬を1着固定にした3連単も悪くはないだろう。10頭立ての少頭数レースとはいえ、プログノーシスが4着以下に沈めば、間違いなく大穴馬券になろう」
結果は、6番人気のキングズパレス(牡6)が3着に飛び込み、3連単は2万8480円(101番人気)の準穴馬券となった。正直、3着馬を少ない購入点数で絞り込めたかは微妙なところだが、クイーンズウォークとホウオウビスケッツの2頭を「1着と2着に固定」した上で、プログノーシスとデシエルトを除く「残り6頭に流す決断」ができれば、購入点数12点で3連単を的中できたことになる。
いずれにせよ、今年の金鯱賞は「陣営の勝負度合いを読み切れば激走馬が見えてくる」という筆者の持論を見事に証明する一戦となったのである。
(日高次郎/競馬アナリスト)