トライアルレースが足早に過ぎていき、クラシックの蹄音が大きくなってきているが、年明け第2弾のGⅠ高松宮記念が3月30日に中京競馬場で行われる。
それと同時に、春のGⅠ戦線の幕開けである。より一層、熱を帯びる競馬となるが、予想する側も大いに力が入るというものだ。
高松宮記念の顔ぶれもなかなか。前哨戦のオーシャンSの1、2着馬ママコチャとペアポルックス、阪急杯勝ちのカンチェンジュンガ、シルクロードSの1、2着馬エイシンフェンサー、グランテスト。さらには昨年末の阪神C以来、3カ月ぶりとなる昨年の2着馬ナムラクレアと、そのライバルで連覇を狙うマッドクールなど、実に多彩な顔ぶれだ。
その他、力差のない伏兵も少なくなく、混戦で見応え満点のGⅠ戦と言っていいだろう。
まずはデータをひもといてみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの22年間、その馬単による万馬券は7回(馬連4回)。この間、1番人気馬は4勝(2着3回)。2番人気馬は4勝(2着7回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は4回。つまり堅く収まるケースもあるが、大波乱で決着することも多いGⅠ戦と言っていいだろう。
特に1番人気馬の成績が不振で近10年の成績は〈1 1 1 7〉。近3年はいずれも馬単万馬券で決着しており、22年には3連単で278万円馬券も飛び出している。波乱傾向が続いていることを思うと、ハイレベルで混戦模様の今年も、人気どおり簡単には収まりそうにない。
穴党として最も期待を寄せてみたいのは、スズハロームだ。想定の段階では抽選対象(グランテストと2分の1)だが、出走できるとみて、強く推したい。
前走の阪急杯は12着で終わったが、この時は3カ月ぶりの実戦で前々走比14キロの体重増。冬場で調整が難しく、明らかに太め残りの状態だった。さらに、レースで揉まれたり、折り合いを欠く場面もあったが、それでも勝ち馬とはコンマ8秒差。悲観することはないはずだ。
この中間はいたって順調で、抜かりなく調整されている。2週前の追い切りも軽快でリズミカルだった。そうした状態のよさに、陣営も「馬体が締まっていい雰囲気。舞台がいいだけに何とか出走させたい」と意気込んでいる。
中京コースは2戦2連対。4走前には今回と同じ距離のCBC賞でクビ差の2着に好走しているように、得意舞台なのだ。
血統も魅力的で、長丁場を得意としたサトノダイヤモンド産駒だが、母の父ローレルゲレイロ(高松宮記念、スプリンターズS)の影響が強いようで、短距離で実績を重ねてきた。4代母は桜花賞馬のアラホウトク。近親、一族にビンゴガルー(皐月賞)やビンゴチムール(朝日杯3歳S2着)など気性が勝った馬が多いことも、短い距離がいい理由の一つだろう。
良馬場条件に〝一発〟があっても不思議はない。