中居正広氏の「性暴力」に対する大物2人の姿勢の違いが、図らずも浮き彫りになった。「芸能界のご意見番」として君臨してきた和田アキ子と上沼恵美子、それぞれの発言があまりに違うのだ。
4月6日の「上沼・高田のクギズケ!」(読売テレビ)では、上沼が中居氏に激高。「クズやな!」「女をモノ扱いにして」「最悪やわ」とカメラ目線で断罪したのだ。かつて芝居の才能を絶賛していたという中居氏を「見損なったじゃなくて、アキレた」と斬り捨てるなど、怒りは収まらなかった。
対照的だったのは、同じ日の「アッコにおまかせ!」(TBS系)だ。和田は第三者委の調査報告を「突っ込んだところまで調べてますね」と評価したものの、中居氏への言及は避けた。「私たちはテレビ局に使われているから」「新しい人たちでいいテレビ局になってほしい」などと、抽象的で当たり障りのない発言に終始したのだ。
和田はこの問題が騒動になっていたさなかの1月26日の放送でも「正直な気持ち、臆測ばっかりじゃないですか。週刊誌からはじまって、何がどうなってんのっていう」「正直、本当のことを言うと、いっさい触れたくない」と発言。「芸能人同士ってちょっと言いづらい」と言葉を濁していた。
この歯切れの悪さの理由を説明するのは、ベテランの放送作家だ。
「フジテレビ、ひいてはテレビ業界の深層を知っているからでしょうね。同じく性加害問題で揺れたジャニー喜多川氏と懇意にしていたことも関係しています。つまり『知りすぎている』ゆえに、うかつに踏み込めないんです。ところが上沼は、そうした癒着体質とは無縁。もちろん夫が元テレビプロデューサーという威光があったかとは思いますが、それ以上に上沼自身が評価されて今がある。覚悟が違います」
芸能界での上下関係や義理人情で、いまだ言葉を濁す和田。視聴者はその空気を見抜いている。「言うべき時には言う」姿勢が求められているのだ。
(中曽根雅樹)