令和のチキンレースか。元横綱・白鵬の宮城野親方をめぐる日本相撲協会退職騒ぎに、様々な憶測が流れている。5月の夏場所を最後に日本相撲協会を離れるのでは、との一部報道があったが、ある相撲関係者は、
「宮城野親方サイドのブラフの臭いがプンプンする。退職報道も宮城野サイドのリークのような気がするしね」
現在、宮城野親方の立場は微妙だ。弟子の元幕内・北青龍の暴力問題で宮城野部屋は当面閉鎖の処分が下り、再開の目処は立っていない。宮城野親方自身も委員から平年寄へ2階級降格処分を受け、大幅な減俸となっている。
部屋持ち親方には相撲協会から部屋維持費や東京場所でのけいこ場補助のほか、幕下以下の力士への養成費、関取以上の地位による養成奨励金などが支払われるが、部屋付きの立場では、それらの収入はない。ベテランの相撲ライターが言うには、
「部屋持ち親方は協会から年間1500万円ほど、しかも関取以上に対する養成奨励金は月数十万円を得られるといわれます。これに後援会からの支度金が入り、関取を複数抱えている部屋持ち親方は年俸1億円を超えるケースがある。ところが部屋付きでは協会からの収入しかない。大口のタニマチがいればいいですが、さすがの宮城野親方もこのままなら干あがってしまう。協会サイドの経済制裁に対抗するため、退職をチラつかせても不思議ではありません」
八角理事長を中心とする現執行部内では、現役時代から散々トラブルを引き起こした宮城野親方に対する嫌悪感が根強いが、強行姿勢を貫けない理由も出てきた。先の相撲ライターが解説する。
「このままの状況が続けば、白鵬イジメととらえられかねない。今のところ宮城野親方は表面上はおとしくしていますが、パワハラだ、コンプラ違反だと騒げば、相撲協会への批判が集中する。このご時世ですからね、相撲協会としてはそんな声を無視できないでしょう。ある意味、チキンレースですよ。相撲協会、宮城野親方がどこまで我慢できるのか。今回の退職騒動をきっかけに、宮城野親方に風が吹く可能性はありますが…」
史上最多45回の幕内最高優勝を飾った平成の大横綱が、相撲協会を押し出すか、それとも相撲巧者の八角理事長がうっちゃるか。春場所の優勝決定戦のような、緊迫した取組の結果に注目だ。