今週から東は舞台が替わり、東京で「根岸S」が行われる。過去5年で1番人気馬が3回連対を果たしているが、3回とも3着は2桁人気馬。難解な一戦だ。一方、京都の「シルクロードS」は、2番人気馬が4連勝中。
根岸Sが今週のメイン。この東京開催は最終日にGIフェブラリーSが行われ、その前哨戦が、この重賞だ。
本番はマイル戦。ここは1ハロン短い1400メートルで行われるが、それが馬券的ポイントの1つだろう。直線の長い東京コースが舞台とはいえ、距離が距離だけに後方一気の脚質は決まりづらい。逃げ一本やりの馬もまたしかりで、先行、好位につけて抜け出すタイプに有利な流れになりやすい。
顔ぶれはどうだろう。獲得賞金から本番の出走権を得ている馬は直行するものが多く、ここはいわば“第2グループ”による争い。そしてまた、マイルでは距離がやや長いと見られる短距離タイプが本番を度外視して勝負をかけてくるのも特徴である。
そのへんをしっかり見極めることも、馬券戦術としては大切だ。
馬単が導入されて以降のこれまでの14年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連は2回)。この間、1番人気は4勝(2着4回)。2番人気は2勝(2着1回)。大きく荒れるケースはそう多くはないが、いわばつかみどころのない中穴傾向の重賞と見ることもできる。
年齢的には充実著しい明け5歳馬が圧倒的に強く、6歳馬がこれに続く。健闘しているのが7歳馬で、年齢的にピークを過ぎたと軽く見るのは禁物か。
今回の人気はどうだろう。その7歳馬ベストウォーリアが最有力か。あとはベストマッチョ、カフジテイク、ニシケンモノノフ、そして、エイシンバッケンにノボバカラといったところが有力候補。いずれも7ハロン戦の成績は優秀で、データからも有力どころのいずれかに狙いをつけるのが無難だろう。
が、これでは穴党としてはおもしろくない。前述したデータを踏まえたうえで期待を寄せたいのは、ブルミラコロだ。
前走の三河Sを勝ってオープン入りしたばかり。初の重賞挑戦とあっては、ここは“家賃が高い”と見られてもやむをえないところ。しかし、この馬にとってここは狙っていた重賞で本番は眼中にないのだ。
なぜならマイル戦は未経験。この7ハロン戦を最も得意(5勝全てダート7ハロン戦)とするところで、父が名スプリンターのキンシャサノキセキ(GI高松宮記念連覇)とあっては納得だろう。
過去12戦して馬券圏外に敗れたのは1度のみ(4着)と、成績は実に安定しており、8カ月半の休養後も前走まで【3】【2】【1】【1】着。使われるたびに体重が増えており、目下の充実ぶりが知れようというものだ。
520キロを超す大型馬だが、均斉の取れた好馬体で、それだけでも素質のよさは明らか。充実の5歳馬であり、先行するか好位につけて抜け出す安定した脚質。前述したこのレースで好走する条件にピッタリではないか。
ここに照準を合わせて調教してきただけに、仕上がりも実にいい。1週前の追い切りではダイナミックな動きを披露していた。
「弱いところがなくなり、ここにきて本格化。かなりいい状態でレースに臨めそう」
厩舎スタッフがこう口をそろえるように、まず臨戦態勢は文句なしだろう。
曾祖母オーバーオールは米GI2勝の活躍馬。血統的にも重賞を勝っていい存在だ。
シルクロードSは“一発”を狙う。期待したいのはヒルノデイバローだ。
芝に活路を求めてから勝ち鞍はないが、軽く見てはいけない。マンハッタンスカイ(GIII福島記念勝ち)の全弟で、血統的にはむしろ芝でこその馬。前走の淀短距離S(6着)では前残りの流れの中、最速の上がり脚を使っていたのは見逃すべきではない。
ようやく芝の速い流れに対応できるようになっており、軽ハンデ(恐らく53~54キロ)を利しての大駆けがあっても不思議はない。