甲子園出場、そして全国制覇を目指す熱戦が全国各地で繰り広げられている高校野球。その予選で、20年連続で決勝に進出した高校がある。北陸の名門・福井県の福井商である。
1県1代表制になった78年第60回大会から昨年の16年第98回大会までの39年間で福井県予選の決勝戦に何と32回も進出。そのうち84年第66回大会から03年第85回大会までは20年連続で決勝戦進出を果たしているのだ。その勝敗の内訳は○9-0若狭、●0-8福井(現・福井工大福井)、○6-3若狭、○7-2鯖江、○4-3北陸、○2-0北陸、●2-8大野、●5-6福井、●4-9北陸、○4-1福井、●1-5敦賀気比、●1-3敦賀気比、○2-1福井、●4-5敦賀気比、●4-11敦賀気比、●敦賀5-6、○3-2敦賀気比、○11-3敦賀気比、●6-11福井、○2-1福井となっていて、10勝10敗のイーブンだった。翌年の04年第86回大会は準決勝で若狭の前に5-6でサヨナラ負けし、惜しくも決勝戦進出記録が途切れるのだが、それでも20年連続決勝戦進出は驚嘆すべき記録である。これは昭和50年代以降、県内では福井商と福井(現・福井工大福井)の実質的な2強状態になっていたことに加え、そこに90年代半ばから敦賀気比が台頭し、3強の寡占状態が続いていたことが大きい。事実、05年の第87回大会からも福井商は県大会4連覇を果たし、その後も10年の第92回大会、11年の第93回大会、13年の第95回大会と3回甲子園出場を果たしている。
とはいえ、近年では北陸などの他校も力をつけてきており、ここ5年間での福井商の決勝戦進出回数は3回で、そのうち勝利したのは1回のみ。直近5回の福井県の代表は順に、福井工大福井、福井商、敦賀気比、敦賀気比、北陸‥‥というように福井商にとって甲子園への道が険しくなってきている。そう考えれば20年連続決勝戦進出はまさに奇跡の偉業といっても過言ではないのだ。
(高校野球評論家・上杉純也)