これから佳境を迎える秋競馬。今週のメインは菊花賞だ。どの馬も初めてとなる距離3000メートルで争われるだけに、荒れるイメージが強い。長丁場への対応力が各馬どの程度なのか、判断するのが難しいこともあるからなのだろう。
実際、馬単が導入された02年以降、これまでの15年間、その馬単で万馬券になったのは6回(馬連3回)で、1、2番人気馬のワンツーで決まったのは、わずか1回のみなのだ( 11年のオルフェーヴルとウインバリアシオン)。
それだけに、予想する者にとっては、より力が入る競馬である。
今年は最強と見られたダービー馬レイデオロがここにホコ先を向けてこず、その2着馬スワーヴリチャード、3着馬アドミラブルの名も見られない。
ということで、目下7年連続して馬単、馬連で万馬券が出てはいないが、今年あたりは‥‥というムードもなくはない。
それにしても混戦模様である。トライアルのセントライト記念を鮮やかな末脚を披露して制したミッキースワローが本命視されているが、その前哨戦を勝つまでは1000万条件馬。血統的に一本筋が通っており、また、距離の不安もなさそうだが、はたして。
差がなく、同じトライアルの神戸新聞杯2着のキセキ、同3着サトノアーサー、セントライト記念2、3着アルアイン、サトノクロニクル、古馬相手に新潟記念で僅差4着と善戦したウインガナドルと続くが、いずれも“絶対視”できるほどの存在ではない。
穴党の出番である。といっても、どの馬も一長一短。ウイークポイントを抱えており、悩むところだ。
それでも真っ先に狙ってみたいのは、ベストアプローチだ。走りっぷりから長丁場は合うと思うのが一番の理由。好位につけ、ジワジワと息の長い末脚を駆使する馬で、京都は〈1010〉と相性がいいのも強調していいだろう。
前走の神戸新聞杯(6着)は、この馬らしい走りが見られずピリッとしなかったが、それでも勝ったレイデオロにコンマ8秒差、2着キセキにはコンマ5秒差。3馬身も離されなかった。
ダービー9着以来、4カ月ぶりのレースで体重10キロ増での出走。見た目にも馬体に余裕があり、重め残りの状態だったのが主たる敗因だった。
しかし、一度使われたことで、この中間は大幅な良化ぶりを見せている。稽古の動きも前走時とは雲泥の差。軽快かつ、リズミカルで、1週前の追い切りも実によかった。
「馬体が締まって、かなりいい雰囲気。勝ち味に遅いが、心肺機能が高く、長距離は間違いなくいい」
状態がよくなったことで、藤原英調教師はじめ、厩舎スタッフはこう期待感をあらわにしている。
父ニューアプローチは、英ダービー馬。母の父エフィシオは成績からマイラーと見られているが、7歳まで走ったタフガイ。そして祖母の父シルヴァーホークはスタミナ豊富なステイヤーとして知られる。血統的背景からも3000メートルはドンと来いというクチだ。
また、勝負師・岩田騎手とのコンビも魅力。道悪もうまそうで、穴党としてイチオシしたい馬である。
逆転候補は、クリンチャーだ。当欄ではダービー(13着)でも推奨したが、マイペースの競馬ができずに完敗。秋初戦となったセントライト記念は、体重が前走比18キロ増と重め残りで9着。これで評価が下がったが、軽く見るのは禁物だ。血統から長丁場は歓迎。巻き返し必至と見たい。
穴中の穴に、スティッフェリオをオススメしたい。秋になって、たくましく成長。セントライト記念(4着)も見せ場たっぷりの好内容だった。こちらは抽選待ち(7分の1)だが、血統的には文句なしのステイヤー。運よく出走枠に入れれば、“一発”があっていい。