朝日杯フューチュリティSが今週のメイン。中央競馬のフィナーレを飾ることになったホープフルSがGIへ昇格。こちらは2000メートルの距離で争われるだけに、来春のクラシックを意識した顔ぶれになる。
反面、この朝日杯FSは従来どおりのマイル戦。いわば2歳の総決算であると同時に、スピード色の強い馬がこれまで以上にそろうことで、今後のマイル路線を占える重要な一戦。どんなスター候補が誕生するのか、楽しみでもある。
アサクサゲンキ(小倉2歳S)、カシアス(函館2歳S)、フロンティア(新潟2歳S)ら、デビューが早く、夏場の重賞を制したスピード自慢は、ここ目標に健在であり、レコード決着となったサウジアラビアRC1、2着馬ダノンプレミアム、ステルヴィオも元気いっぱい。
そして、タワーオブロンドン、ファストアプローチの藤沢和厩舎の2騎。以上が有力候補として名があがっているが、ダノンスマッシュ、ムスコローソなども差のない評価で、激しくて見応えある競馬が堪能できそうだ。
中山から阪神に舞台が移って4年目になるこのGIは、馬券的には中穴傾向にある。馬単導入後のこれまでの15年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連3回)。1番人気馬は3勝(2着4回)、2番人気馬は5勝(2着1回)で、1、2番人気馬のワンツーは2回という具合だ。
ただ、阪神に移ってからの過去3年で2度、馬単で万馬券(馬連で1回)になっており、人気どおりの決着とはいかなそうだ。
本来なら目下連勝中のタワーオブロンドンから入るべきなのだろう。先頃、引退したディーマジェスティ(皐月賞)、ジェネラス(英、愛ダービー)を近親に持つ良血で、前2走のレースぶりが、また鮮やか。不安材料が見当たらないが、これでは穴党としてはおもしろくないだろう。
少しばかり評価を下げたものの、魅力たっぷりな馬がいる。穴党として最も期待を寄せたいのは、ダブルシャープだ。
周知のとおりホッカイドウ競馬からの移籍馬。8月のクローバー賞でタワーオブロンドンを破った力量馬だが、前走のサウジアラビアRCでは6着に敗れている。
しかしこれ、北海道の門別から東京競馬場までの長距離輸送。その輸送減り(体重減)が気がかりだったのだろう。直前の追い切りを軽めにしたのが裏目に出た格好。レースでは前走比で体重が8キロも増えていた。つまり、重め残りだったわけだ。
それでも勝ったダノンプレミアムとはコンマ6秒差。やはり力がある証拠で、まだ勝負づけは済んでいない。転厩後のこの中間は、すこぶる順調。1週前の追い切りは軽快そのものだった。
「疲れはなく、環境にもすぐに慣れた。うちに来てからも、ここ目標に問題なく仕上げられている」
こう渡辺調教師はじめ、厩舎スタッフが口をそろえるほどだ。ならば、期待していいのではないか。
クローバー賞がフロックでなかった証拠に、続く札幌2歳Sでは、出遅れながら勝ち馬と同時計の3着惜敗。中央移籍は請われてのものなのだから、軽く見るのは断じて禁物だ。
天皇賞・春を制したメジロブライトが近親にいて、ナスノコトブキ(菊花賞)など一族に活躍馬が少なくない血筋。GIパリ大賞典を勝ったスタミナ豊かなベーカバドが父親であることから、大一番での破壊力が期待できる。
これまでのレースぶりからセンスのよさと勝負強さを兼ね備えているのは明らか。良馬場条件に大きく狙ってみたい。