会社の会議や冠婚葬祭などで発言する際に緊張や不安を感じたことはないだろうか。その状態が常に続いたり、日常生活にまで支障を来す場合は「不安障害」かもしれない。
過度の不安や恐怖感に苛まれ続けることで、心や体に様々な支障が生じる状態で、症状によって、呼び名も変わってくる。
そのひとつが「パニック障害」だ。
これは、突然、激しい不安に襲われ、動悸や息切れ、めまいなどの症状を発症する「パニック発作」を繰り返す病気だ。
「またあの発作が起きたらどうしよう」と予期不安が強くなり、1人で外出ができなくなる場合もある。
他にも「社会不安障害」「強迫性障害」などがある。
前者は、人前で話をする時に恐怖を感じたり、電車やバスなどの人が大勢いる場所で強い苦痛を感じるなど、社会生活に支障が出る病気だ。失敗や恥ずかしい経験がきっかけで、引き起こされるケースもある。
後者の「強迫性障害」は、不安な考えや強迫観念にとらわれ、その恐怖を取り払おうと、何度も同じことを繰り返す強迫症状を指す。
例えば、繰り返し手を洗い続けたり、戸締まりを何度も確認するなどの行為をやめることができずに、日常生活に悪影響を及ぼすこともある。
これらの治療は、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの薬物療法とカウンセリングが中心になる。カウンセリングでは、不安や恐怖に対するサポートを受けつつ、苦手な場所やモノに少しずつ慣れるようにし、自信を回復させていく。
「不安障害」は「ただの心配性」「考えすぎ」といった誤った認識で、見逃してしまうケースもあるため、勝手な自己診断はせずに、クリニックに相談してみることが重要だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。