イギリス北部スコットランドにあるネス湖で「過去50年で最大規模」というネッシーの捜索が行われたのは、昨年8月だった。捜索には湖中音を検出する高性能水中マイクなどの最新機材が用いられ、主催者側は、
「湖から4回ほどノイズを検出した。あるいはネッシーが出した音かもしれない」
と期待を膨らませていたが、残念ながらネッシー確認に一歩近づくまでには至らず。その存在は現在もなお、謎に包まれている。
スコットランドにはネス湖のほか、数多くの湖が各地に点在する。近年、様々な湖で目撃されているのが「ネッシーの幼体」ではないかといわれる水棲大型生物「ドアル・クー」なのである。
ドアル・クーはアイルランド語で「水のイヌ」という意味を持ち、古くからアイルランド伝説に登場する怪物。体は巨大なカワウソに見えるものの、性格は非常に獰猛。時には人間を襲うとされ、恐ろしい水棲生物として認識されてきた。
ところが、このドアル・クーが近年、湖で目撃される数は「ネッシーの比ではない」というのだ。世界のUMAに詳しい専門家が興奮した口調で語る。
「目撃情報によれば、ドアル・クーの頭部は60センチほどで、体長2メートル以上。ヒレ状の足を持ち、水中を素速く泳ぎ、異様な鳴き声を発するとされています。ただ、その姿については目撃証言がまちまちで、イタチやカワウソに似ているというものから、半犬半魚のようだった、ウナギのようだった等々、かなりの開きがあります。共通しているのは、いずれも体に毛がなく、皮膚はヌメヌメとした感じだった、という点。とはいえ、アイルランドやスコットランドにはカワウソが多く生息するため、地元住民が見間違えるはずもない。そんなことから、ネッシーの幼体ではないのか、という説が流れるようになったのです」
1600年から1700年代には、湖で遊んでいた男性にドアル・クーが噛みつき、水中に引きずり込まれそうになった、あるいは女性が殺害された、という記述が残されている。
1900年代に入ると、目撃情報が急増。2004年にはアイルランドのマクロス湖でドアル・クーらしき生物の写真が撮影され、騒ぎになった。
もしドアル・クーがネッシーの幼体であるならば、ネッシー自体が存在することになる。ネッシー研究者たちは、大きく夢を膨らませているのだ。
(ジョン・ドゥ)