連日、熱戦繰り広げられている夏の高校野球。8月12日に行われた2回戦、関東第一高校(東東京)との試合に、2年連続出場の北陸高校(福井)が登場。ナインが着用するユニフォームがかつての阪急ブレーブスのものにソックリなことから、往年のファンを歓喜させた。
試合は1回表、二死一・三塁のチャンスに5番・篠田一誓がライト前にタイムリーヒットを放ち、1点を先制。しかし、関東第一は北陸の先発・井黒晃佑を攻めると、3回裏に成井聡の犠飛などで2点を挙げて逆転に成功。北陸は9回に2本のヒットでチャンスを作ったが、あと1本が出ず。1-7で破れ、32年ぶりの甲子園白星とはならなかった。
この試合中、北陸の林孝臣監督が、エラーした選手や四球を出した選手を「懲罰交代」させたことが物議を醸している。
5回裏一死二塁で4番の高橋徹平を迎えた場面では、3年生の鳴海凱斗から、2年生で今大会初登板となる竹田煌士にスイッチ。ところが竹田が四球を出すと表情を曇らせ、わずか打者1人で交代させる。SNSでは「選手が萎縮している」「北陸の監督、態度悪すぎ」などと大荒れだった。
北陸の守備時には捕球した選手が先に1塁ベースを踏んでいるのにセーフ判定されたり、逆に攻撃時には打者のベースタッチが早かったのにアウト判定されるなど、明らかな誤審もあり、監督のイライラは募るばかり…だったのかもしれない。
試合後半では、あまりにも感情を露わにする林監督に配慮したのか、NHKのカメラが北陸のベンチを映すことはほとんどなかった。試合後、林監督は、
「継投ミス。なんとかリードしている状態で竹田(海士)につなぎたいという気持ちが強すぎた」
と采配ミスを認めたが、教育の場でもある甲子園では、選手のミスにもう少し大らかな気持で接してもよかったのではないか。
日本シリーズ3連覇を達成するなど、阪急の黄金時代を築いた上田利治監督は、エラーをした選手が座っているベンチを蹴り上げるなど激情家の一面を持ちながら、一方で疲れている選手を気遣いヤル気にさせる、巧みな操縦術を持っていた。
中継で映ることはなかったが、きっと林監督もグラウンドの外では上田監督のような気遣いを選手に見せているのかもしれない。
(ケン高田)