米ルイジアナ州とCDC(米国疾病対策センター)は現地時間1月6日、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)に感染し、治療を受けていた患者が死亡したと明らかにした。
アメリカ国内では昨年春からニワトリやアヒルなど家禽類の生産者を中心に、約70人の鳥インフルエンザ感染が報告されていたが、死亡者が出たのは初めてだ。
実はこの鳥インフルエンザ報道に隠れて、この冬、秘かに中国から日本に上陸しているウイルスがある。
2001年にオランダで発見された新種ウイルス、ヒトメタニューモウイルスだ。症状は1週間近く上がったり下がったりを繰り返す発熱と、夜眠れないほどの激しい咳。ゼーゼーヒューヒューという喘鳴と、呼吸困難を引き起こす。乳幼児や高齢者で喘息の持病がある人は重症化しやすく、幼児の5%が熱性けいれんを起こす。特効薬やワクチンはまだない。
昨年11月から中国北部で、このウイルスの感染が拡大。中国疾病予防コントロールセンターは年明け、感染封じ込めに失敗し、中国南部にも患者が拡大していることを認めた。すでに台湾や香港、マカオ、インド、カンボジアで感染者が報告されており、タイとベトナムでは春節を前に警戒を強め、検疫体制を強化している。
残念ながら日本国内でも、すでに12月からこのウイルス感染が拡大している。クリスマスを前に、在日中国人の多い足立区、江東区などの東京下町エリアの複数の保育園、小学校でヒトメタニューモウイルス集団感染が起きているのだ。
インフルエンザ、新型コロナの検査は陰性、それなのに呼吸困難や熱性けいれんを起こしたとして、大学病院や救急外来に担ぎ込まれた乳幼児を検査をしたところ、ヒトメタニューモウイルス感染がわかったという症例が相次いでいる。なお、同ウイルス検査は6歳以下の乳幼児にのみ、保険適用が認められている。
石破茂内閣は昨年11月29日、国会審議もなしに福岡資麿厚労相が大臣の行政権限行使で省令改正、コッソリと風邪を感染症法の第5類に指定した。実にバカバカしいが、こうした新種ウイルスの感染拡大を防ぐための省令改正だったはず。
ところが石破内閣は、12月に中国から新種ウイルスが日本に上陸し、集団感染が起きているのに、いまだ国民には公表しておらず、1月29日から始まる春節に、中国人観光客の入国制限を検討するフシもない。しかも岩屋毅外相は12月末、訪中時に中国人団体観光向けビザを緩和すると発表している。
このままいけば今冬、2020年の新型コロナ禍かそれ以上に悲惨な、子供が苦しみながらバタバタ死んでいく「石破パンデミック」が襲来することだろう。
(那須優子/医療ジャーナリスト)