昨夏の猛暑、昨秋の天候不順、師走の低温や少雨などの影響で、野菜の価格高騰が続いている。中でも異常な高騰を見せているのが「キャベツ」だ。
農林水産省が1月7日に公表した食品価格動向調査結果(昨年12月23~25日)によれば、キャベツの全国平均小売価格は1キログラムあたり453円で、平年平均価格の3.4倍にも達している。その後もキャベツの価格高騰は止まらず、年明け以降、大ぶりのキャベツで「1玉1000円超え」の値をつける小売店が登場し始めている。
そんな中、とんかつにマストの添え物としてキャベツを大量に提供する「とんかつ専門店」からは、悲鳴に似た声が上がっている。年明け早々、筆者が訪れた馴染みの店主は、次のように悲痛な嘆きを口にいた。
「仕入れに要する金額で言えば、今やキャベツの仕入れは価格は本体の豚肉よりも高い。まさに本末転倒状態ですよ。しかもウチの場合、キャベツとご飯はおかわり自由でしょ。米の価格も上がっていますしね。さりとて値上げをすれば、お客さんが離れてしまう。今後もキャベツや米の値上がりが続けば、それこそ売れば売るほど赤字がかさんで、もう完全なお手上げ状態ですよ」
店主のこの嘆き節を耳にして、筆者はキャベツのおかわりだけは控えたが、コトはキャベツだけにとどまらない。
前出の食品価格動向調査結果によれば、レタスの全国平均小売価格は平年の2.4倍、白菜と大根も平年の2倍近くと、葉物野菜を中心とする調査対象8品目の全てで、平年を大きく上回る高騰状態になっているのだ。
加えて農林水産省によれば、今年1月の野菜の卸売価格は、対象15品目のうちサトイモを除く14品目で「平年を上回る」と予測されているのだ。
地球温暖化に起因する気象異変が今後も続くことを考えると、「キャベツはとんかつの添え物」「大根は刺身のツマ」などというこれまでの常識は、完全に過去のものになってしまうのではないか。
(石森巌)